素材そのものの味わいを引き出す、洗練された家庭料理に多くのファンを持つ料理家のサルボ恭子さん。
作り置きしておくことで日々の食卓を豊かにしてくれる、ストック調味料やおそうざいのレシピをまとめた新刊『毎日おいしいびん詰め』が話題です。
【サルボ恭子さんの美味しい食卓vol.1】日々を助けるストックレシピ
に続き、難しい火加減が不要で、そのまま食べてもアレンジしても美味しいコンフィのレシピをご紹介します。
サルボ恭子/さるぼきょうこ
老舗旅館の長女として生まれ、料理家の叔母に師事したのち渡仏。パリのグランメゾンで研鑽を積み帰国、料理家として雑誌やTVなどで幅広く活躍中。現在は日本でフランス語教室を主宰する夫と自身の両親の四人暮らし。『ストウブマスターブック』(学研プラス)、『おもてなしは一品豪華主義でいい』(誠文堂新光社)、『フランス共働き家庭の2品献立』(立東舎)など著書多数。Instagram @kyokosalbot
サルボ恭子さんのびん詰めレシピ <コンフィ>
■コンフィとは
素材を低温の油でじっくり煮る料理です。油の中で静かにゆっくり火を入れると素材の水分が中にとどまり、油の効果でしっとりと煮上がって油っこさがないのがいいところです。
また漬け油は素材のうまみが溶け出しているので、サラダにかけたり、炒め油に使ってもいいでしょう。
方法は二つ。保存瓶に材料を全部入れて湯せんで火を通す方法と、鍋に材料を全部入れてじか火でコトコト火を入れる方法です。
ここでは、ゆっくりじんわり火を入れるため時間はかかりますが、火加減の微妙な調整がいらない湯せんでの調理法をご紹介します。
■コンフィを瓶調理するメリット
・調理と保存が一度の手間で済む
・火加減の微妙な調整がいらない
・鍋で作るより油の量を抑えることができる
・油の量は「瓶に入るだけ」でOK
■瓶を使ったコンフィの作り方
(1)材料をすべて保存瓶に入れ、材料が隠れるくらいまで米油を注いで蓋をする。
(2)保存瓶の油の高さまで湯につかるような深鍋にキッチンペーパーを二重にして敷き、蓋をした瓶を入れて油の高さまで水を注いで中火にかける。
※水から調理を始めることで耐熱ガラスでなくとも瓶調理が可能です。急激な温度差がガラスに負担をかけて破損の原因となります。ヒビや欠けがないガラス瓶をご使用ください。
(3)沸騰したら火を弱め、湯が静かに沸騰している状態で湯せんにかけ(加熱時間は材料に応じて調節してください)、火を止める。
※必ず手で湯がさわれるくらいに冷めるまでそのままおく。
(4)保存瓶を取り出し、完全に冷めたら冷蔵庫で一晩ねかせる。
■レバーのコンフィ
レバーをコンフィにすると、しっとり濃厚な 味わいが楽しめます。火の通り加減が絶妙 で、料理の腕が上がったようにでき上がる感激の一品。
ねぎや青じそなど薬味をのせてそのまま食べたり、刻んで卵サラダに加え、こしょうを効かせてつまみに。
材料< 約350mlの保存瓶1個分>
鶏レバー …… 200g
塩 …… 小さじ1
赤ワイン …… 大さじ1
にんにく …… 1かけ
粗びき黒こしょう …… 4粒分
米油 …… 適量
<作り方>
(1)レバーはつながっているところを切り分けて筋と血を取り除き、塩 と赤ワインをまぶして保存瓶に入れ、冷蔵庫に 20 分おく(前日の夜に 塩と赤ワインをまぶして冷蔵庫で一晩おいてもいい)。
(2)コンフィの基本的な作り方で湯せん調理する。加熱時間の目安は2時間。
◉保存=冷蔵庫で10日、冷凍庫で3カ月。
■活用例 レバにら風
マイルドなレバーの味わいは絶品!おかずでもおつまみでも大活躍です。
<材料と作り方>1〜2人分
(1)にら3本はもやしと同じ長さに切り、もやし1袋とともに水で洗ってざるに上げ、水気をきる。
(2)耐熱ボウルに入れてオイスターソース1と1/2を絡め、ラップをして600Wの電子レンジで1分30秒加熱する。器に盛り、レバーのコンフィ6個をのせる。
■しらすのコンフィ
しらす干しのうまみが溶け込んだオイル は絶品。耐熱容器にコンフィのオイルと マッシュルームを入れ、オーブントース ターで温めてアヒージョにしたり、ピザにのせてもいいでしょう。
材料 <約125mlの保存瓶1個分>
しらす干し …… 80g
にんにく …… 1/2かけ
オリーブ油 …… 適量
<作り方>
保存瓶に材料をすべて入れ、基本のコンフィの作り方で作る。加熱時間の目安は50分。
◉保存=冷蔵庫で10日、冷凍庫で 3カ月。
■活用例 しらす冷ややっこ
豆腐にかけるだけのシンプルレシピ。洋風冷ややっこの味の決め手はうまみたっぷりのオリーブ油です。
<材料と作り方>1人分
器に絹豆腐小1丁を盛り、しらすのコンフィ大さじ1と削り節適量をのせる。
■かきのコンフィ
かきの濃厚なうまみがオイルと一体化。ふっくら煮上がったかきはもう絶品です。オイルごとパスタにあえたり、卵と混ぜてオムレツにしたり。
材料 <約 350mlの保存瓶1個分 >
かき …… 20個(220g)
赤唐辛子 …… 1/2本
ローリエ …… 1枚
オリーブ油+米油 …… 適量
<作り方>
(1)かきは流水でふり洗いをし、キッチンペーパーで水気をふく。
(2)保存瓶に 材料をすべて入れ、基本のコンフィの作り方で作る。加熱時間の目安は1時間。
◉保存=冷蔵庫で10日、冷凍庫で 3カ月。
■活用例 かきのおろしあえ
大根おろしでさっぱり味に。口に入れるとかきとオイルがうまみの後押しをします。
<材料と作り方>1人分
ボウルにかきのコンフィ3個と大根おろし適量を入れてさっとあえ、器に盛る。
撮影/宮濱祐美子
※本記事は『毎日おいしいびん詰め』(文化出版局)からの抜粋です。
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