〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーのKayoさんこと重盛佳世さんのライフスタイルエッセイです。『全くダメな英語が1年で話せた!』シリーズが累計28万部を超えるヒットを飛ばし、いまや「英語の達人」。そんな人気のKayoさんの、大人になってから歯の矯正をした話について。
チャームポイントは八重歯でした
子供の頃から私のチャームポイントは(立派な)八重歯でした。私の世代で八重歯といえば石野真子さん。「真子さん=可愛い」のイメージで、私も自分の八重歯が気に入っていました。それ故、地元のかかりつけの歯科医や両親から何度も矯正をすすめられましたが、断固として拒否していました。
そんな私ですが、20代の後半に顎関節症に。その頃の私は、偏頭痛・肩こり・眼精疲労をわずらっていましたが、とうとう口も開かなくなくなったのです。病院では噛み合わせの悪さからくる「顎関節症」と診断され、そのまま治療に3年……。治療の最終日、主治医から「嚙み合わせは治ったから、これで矯正すれば完璧だよ!」とアドバイスを受けたものの、矯正には全く興味を持っていなかった私はその時も聞き流していました。
お婆さんの一言で歯の矯正を決意
その何年か後、私は夏休みを利用して大学の友人が語学留学しているローマを訪ねました。イタリア語を覚えたての友人と夜行列車を使って南イタリアをめぐる旅!もちろん、当時の私は英語もイタリア語も全くできない“100%友人頼り”のお気楽人間でした。
その旅の5日目、私たちはボックス席の列車に乗り込み、ひとりのお婆さんの向かいの席に座りました。そして友人が覚えたてのイタリア語でお婆さんと会話をし、それを私に訳してくれました。会話が弾み、私も楽しくて大口を開けて笑っていました。すると、今までにこやかだったお婆さんの顔が急変。何かおぞましい物でも見るかのように私を見ながら怒った口調で何かを言い始めたのです。
チャームポイントを全否定され。。
お婆さんの話の内容はこうでした。「そんな汚い歯並びをして大口で笑うとは、なんて下品な子!ここに来るお金があるなら、まずは歯並びを治しなさい!」と。それを聞いて私はかなりのショックを受けました。あれほど自慢だった八重歯が、海外では全否定されたのです。その後の旅のことはあまり覚えていません。記憶に残るのは、帰国後、真っ先に顎関節症の医師から紹介された歯科矯正の医院に予約を入れたことだけ。そして、それから1年半かけて歯の矯正治療を行いました。
健康な老後には歯が命
私にとっての矯正のきっかけは、親や医師たちよりも異国のお婆さんのひと言でした!あの時にはショックを受けましたが、おかげで今は頭痛も肩こりもありません。日本でも海外でも、人前で心置きなく笑っています。また嬉しいのが、歯磨きがしやすくなったこと!矯正後の虫歯はゼロで、現在でも歯科の定期健診で褒められています。以前は見た目を重視していたものの、(老後を控えた)今は、いかにこの状態をキープして1日でも長く自分の歯で食事をすることを目標とし、メンテナンスをしています。昔、同世代の俳優たちが「芸能人は歯が命」ってCMをしていましたが、それをモジるなら「健康な老後には歯が命」です (笑)。
追記)私の周りでは、同世代の何人かが歯の矯正治療をしています。何でもコロナ禍でマスク着用の今がチャンスと!なるほど~と、感心してしまいました。
●Kayo’s message
Her advice was an eye-opener to me.
(彼女の忠告で目からウロコが落ちた。)
「目からウロコ」は英語で“eye opener”。単語の通り「ハッと目を開かせる」というニュアンス。ちなみに、八重歯は“double tooth”と言います。