〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーのKayoさんこと重盛佳世さんのライフスタイルエッセイです。『全くダメな英語が1年で話せた!』シリーズが累計28万部を超えるヒットを飛ばし、いまや「英語の達人」として人気のKayoさんの、英語にまつわる苦い思い出が……。
サラリーマン時代、英語ができなくて悔しい思いをたくさんしました。なかでも一生消えることのない苦い経験が2つあり、今回はその中の1つをお話しさせていただきます。
30代半ば、アメリカのメンズアパレルのPRを担当していました。私はそのブランドが大好きで、いろんなメンズ誌にPRをかけていました。そんな中、奇跡が!大好きなメンズ誌の編集長が、N.Y.のデザイナーを気に入ってくれて、彼の訪日に合わせて雑誌の表紙に起用してくれることになったのです。
またとないチャンスを喜んだものの……
その雑誌の表紙にはラルフローレンなどの世界的デザイナーや車ブランドのCEOが起用されていたのですが、なんとそこに肩を並べられるとは!!ブランドにとってはスペシャルなこと。そして当然のごとく、その撮影と取材のデザイナーのアテンドは私がやることになりました。今となっては、英語が全くできない私に、会社も無謀なことをさせたなぁ~と思いますが、その時の私は、担当する大好きなブランドの大好きなデザイナーが、これまた大好きな雑誌の表紙を飾れることに興奮して、アテンド話を二つ返事で引き受けてしまったのです。
撮影の当日。スタジオ入りは午後一だったので、昼前にデザイナーの宿泊する六本木の高級ホテルに迎えに行きました。私たちはそのままレストランで昼食を済ませて、一緒にタクシーでスタジオへ。その時には、英語ができないなんて言っていられないので、とにかく片言の単語でやり取りをしましたが、とにかくひどいアテンドでした。
アテンド中、気まずい空気が流れピンチ!
レストランではメニューを見せて食べたいものに指をさしてもらい、食事中もおそらく無言。(←実は緊張しすぎて全く覚えていません・汗) タクシーの中でも会話は続かず、私はひたすら「I like your design! (あなたのデザインが好き!)」と連呼していたような……。スタジオに着いて撮影の準備が整うまでは、ふたりでソファーに座って待っていたのですが、デザイナーが眉間にしわを寄せて私に何か言ってきたのです。でも私は理解できない。周りにいた編集者や撮影スタッフに声をかけても誰も英語が話せない。(デザイナーにとっては最悪な場です。) そうしているうちに唯一英語のできる編集長がやってきてデザイナーの話を聞いてくれました。彼はスタジオの中は息苦しいから、一旦、外で新鮮な空気を吸ってきたいと言っていたのでした。もちろん!と、一緒に外に出てリフレッシュし、その後は編集長にバトンタッチ。表紙撮影と取材は無事に終わりました。
この時の悔しさが、後の英語人生に導いてくれる。
デザイナーと編集長はすっかり意気投合して、楽しく話していました。そして、私の英語のできなさに呆れたのか、編集長は自分の車で私たちを会社まで送ってくれたのでした。世界でも有名なあの大編集長に会社まで送らせたPRは、後にも先にも私だけでしょう…、それだけ私がダメダメだったのですが(凹)。しかしながら、私の愛するブランドのデザイナーは、こんな私に嫌な顔一つ見せず、終始穏やかに接してくれました。それが余計に申し訳なくて…、今でも悔いが残っています。
今の私なら、彼といろんな話ができるのになぁ~って。
【kayo’ s message 】
I still have regret.
今でも悔いが残っています。
こちらは“still”を入れて「未だに/今でも」と強調させ、豊かな表現にしています。誰でも後悔のひとつやふたつはあるもの…。何かの機会に使ってみてください。