朝吹真理子さん5年ぶりのエッセイ『信号旗K』。不思議な読書体験を味わえる、32編の訪問記録。
2011年に『きことわ』で芥川賞を受賞し、小説からエッセイ、アートまで幅広く活動している作家の朝吹真理子さん。雑誌『GINZA』で連載していた記録的対談エッセイ『信号旗K』が刊行されました。
「私はあなたと交信したい」。ゲストと語らう時間と記憶のエッセイ集
はじめましての方から交流の深い方まで、朝吹さんがゲストを訪ね、語り合ってきた『GINZA』の連載が一冊の本になりました。
訪ねたゲストは、音楽家・細野晴臣さん、作家・村田沙耶香さん、ファッションデザイナー・黒河内真衣子さんをはじめ、年代もジャンルもさまざまな各界で活躍する方々。
人だけではなく、縁のある場所を訪ねたパートも。ゲストと過ごした時間や会話の風景、想いを寄せる場所の記憶が、独自の視点で繊細に鮮やかに描かれています。
『信号旗K』に込めた想いとは?
”書名の『信号旗K』は、船舶が用いる国際信号旗からきている。(中略)
二十代のはじめ、はじめて書いた小説「流跡」の原稿を持って瀬戸内海を一人旅していたときにこの旗を知った。お土産コーナーをぼーっとみていたときに、色とりどりの四角い焼き物のピンバッヂが並んでいるのが可愛くて、さいしょはどこかの国旗だろうと思ってみていた。「信号旗K」の、わたしはあなたと交信したい、という一文は、書き上がるかもわからない小説を持って、どうしていいかわからなくて苦しかったときに、みょうに心惹かれた。本を読むことは時をまたいだ誰かと交信できることでもある。すべての本は、読んでくれるひとを待って、そっと交信希望の旗を掲げているんじゃないかと思う。”
ーー『信号旗K』より
【朝吹さんからのメッセージ】
5年ぶりのエッセイ集です。大好きな人たちと会っておしゃべりをした思い出が一冊になりました。ゲストの方々とは毎回5時間くらい話していました。
本をまとめるにあたって、ほとんどの制作を、東銀座にあるマガジンハウス社会議室103号室でしていました。
お菓子をねだり弁当をくいあらし、生き霊のように居座り続けて、どうにか無事完成しました。よろしくおねがいいたします。
訪ねた方々(訪問順)
村田沙耶香(小説家)/細野晴臣(音楽家)/宮永愛子(アーティスト)/ドミニク・チェン(情報学研究者)/江﨑文武(音楽家)/津野青嵐(アーティスト)/髙木由利子(写真家)/澁澤龍子(エッセイスト)/佐藤 允(アーティスト)/北村道子/中村道子/zAk(サウンド・エンジニア)/くるみ/和多利月子(ワタリウム美術館ディレクター)/毛利悠子(美術家)/小林エリカ(作家、漫画家、アーティスト)/黒河内真衣子(〈Mame Kurogouchi〉デザイナー)/青葉市子(音楽家)
『信号旗K』朝吹真理子
各界のゲストを訪ね、語り合ってきた『GINZA』での連載〈信号旗K〉。書籍化にあたって、新たに訪問、書き下ろした音楽家・青葉市子さんを含め、全32編を収録。マガジンハウス 3,300円
PROFILE
朝吹真理子/あさぶき・まりこ
1984年東京都生まれ。2009年『流跡』でデビュー。2010年同作でBunkamuraドゥマゴ文学賞を最年少受賞。2011年『きことわ』で芥川龍之介賞を受賞。他の著書に『TIMELESS』、エッセイ集『抽斗のなかの海』、『だいちょうことばめぐり』(写真・花代)などがある。2026年秋に『ゆめ』(河出書房新社)を刊行予定。