【映画好きの3本/川島小鳥さん】悲劇性の中に秘められた愛や希望……韓国映画は愛の映画!
各界の映画好き著名人がそれぞれの視点でおすすめの映画3本を紹介する「映画好きの3本」。今回は写真家・川島小鳥さんのおすすめをご紹介します。
激しい感情、そして気合や魂を詰めて 韓国映画が表現する大きな愛に感服。
「韓国映画を観るようになったのはここ数年です。観始めると互いに距離も近いのに、そして人間の見た目も違わないのにまったく異質だなと思ったり、知らないことも多かったりと改めて驚くことが多くて。怒り、悲しみ、好き、といった感情が激しい! そして普段見たくないようにしていることや隠されている部分を丁寧に描く姿勢にも心奪われます」
川島小鳥さんが韓国映画の「すごさ」を切に感じた3本の作品とは。
『サニー 永遠の仲間たち』は韓国映画とのほぼ出会いの1本。ばらばらの人生を歩む同級生たちの友情を軸にして、80年代終盤の青春と抱えている今をクロスさせた物語です。実は川島さん、高校時代に2週間、交換留学生としてソウルに滞在したことがあったそうで。
「その時に経験した韓国の学生たちの熱さ、にぎやかさが蘇ったんです。壁をつくることなくやさしく接してもらいました。記憶そのままの雰囲気が映画にあって懐かしかったうえに、女の子たちの社会に出る前の無敵の瞬間がしかと描かれているのを素晴らしいと感じました。
1_『サニー 永遠の仲間たち』
平凡でも幸福な日々を歩む42歳主婦ナミは高校の同級生チュナと再会、彼女は余命いくばくもなく、最後の望みを叶えようと仲良しグループ、サニーのメンバーを探し出すことに。その過程でメンバーたちの青春と今が再び、輝きだしていく。出演/シム・ウンギョンほか 監督/カン・ヒョンチョル 2011年 デジタル配信中 提供:ツイン
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純粋だからこその無敵感。そこにはほろ苦さもふくまれていて、なんだか自動的に涙が出てしまうような。特別な瞬間? 年頃?なんでしょうか。そんな世界は『君と私』にも共通しています」
セウォル号の悲劇直前、少女たちの一日を描いている作品です。「社会的なテーマを訴えてもいながらポエティックなシーンがつながっていって、あくまで個の世界のストーリーとして語られます。なんでもない一日こそ素晴らしい、と。言いたいことと映像が一致している。女優が演じているのに自然すぎて”本物”としか見えないのもすごい。1シーン毎に気合が入っていて、力が尽くされてつくられているのも敬服します。それは3作ともで!」
2_『君と私』
修学旅行を前日に控えて、不思議な夢を見て胸騒ぎを覚えた女子高生セミは心を寄せるハウンが心配でならなくなり、一緒に修学旅行に行きたいと訴える。ハウンには隠し事があるようで、なんとも煮え切らないが……。出演/パク・ヘス、キム・シウンほか 監督/チョ・ヒョンチョル 2022年
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『息もできない』は父との確執を背負って自身も暴力に日々身をやつしている男と、やはりすさんだ家庭に生きる女子高生が閉塞感の中で心を近づけていって……。「すごい!」に尽きると言います。
「もともと暴力的な内容のものは苦手なのですが、監督が描きたいのは暴力の先にある愛みたいなものだと気づき、純愛映画だと僕は思いました。それも純度の高い! そして監督個人の思いをすべて映画につぎ込み、救いを表現したのかなと。それをスタッフも一生懸命協力してつくりあげた。作家性の強さとともに創作のパワーが圧倒的です」
3_『息もできない』
父に対する憎悪と腹立ちでまっとうに生きられないアウトサイダー、サンフンはひょんなことから高校生ヨニと知り合う。ふたりは辛さの中でも魂が共鳴するような時間をもち、少しずつでも光の方向へ向かうように見えるのだが……。監督・主演/ヤン・イクチュン 出演/キム・コッピほか 2008年
写真 Aflo
3作品とも悲劇性をもつものの、一見秘められた愛や希望こそが重要だとわかると川島さん。2年前、撮影のために度々訪韓したことで、韓国への理解や思いの傾きはまた深まったと語ります。
「韓国の友人たちとのつきあいの中で、また韓国映画に教えてもらったことは大きいです。愛にはいろいろある、愛とは大きいものでその中に悲しみとか怒りとかあるんだなと気づけてきました」
韓国映画は愛の映画だと思って観て、間違いはないのだと思います。
PROFILE
川島小鳥/かわしま・ことり
写真家
写真集『未来ちゃん』(2011年)で講談社出版文化賞、『明星』(2015年)で木村伊兵衛写真賞を受賞。ソウルに7カ月通って撮影した写真集『サランラン』を昨年上梓。NHK連続テレビ小説『ばけばけ』のタイトルバック写真も注目を集めた。
『クウネル』2026年7月号掲載
写真/山崎智世、取材・文/原 千香子
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『クウネル』NO.139掲載
これからを生きるための「言葉の力」。
- 発売日 : 2026年5月20日
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