【映画好きの3本/美木ちがやさん】連休中にいかが?ファッション、ヘア、美術に注目したい映画。

美木ちがやさん

各界の映画好き著名人がそれぞれの視点でおすすめの映画3本を紹介する「映画好きの3本」。今回はトータルビューティデザイナー・美木ちがやさんのおすすめをご紹介します。

人物の外見の表現に心奪われるスタイリッシュな映画 。

美木ちがやさん

仕事としてヘア&メイク、ファッションと関わる今、美木ちがやさんが「すごく影響を受けた」と改めて振り返るのが中学生のころに出会った作品です。

「『ゲッタウェイ』はすべてがファッショナブルで衝撃。サム・ペキンパー監督の作品は何本か観ていましたが、共通するテーマ「暴力の美学」に相反するアリ・マッグローの正統派のスタイリングは目を見張るものがありました。

シルクの白いブラウスにひざ丈スカートで同色系のニットを肩掛けにしていたり、茶のスエードトレンチ。ハーフアップの髪やピンクのリップ、自然で印象的でした。

当時風のアイウェアや〈カルティエ〉のラブブレスも新鮮……。音楽はクインシー・ジョーンズで、当時としては相乗効果でカッコ良さの演出が素晴らしかった」

おしゃれでしなやかなヒロイン像に釘付けとなっていたようです。

「映画を動くファッション誌みたいな感覚で観ていたきらいはあります。でもキャラクターの外見を通して、映画の湿度や空気や物語を体感できた。すべてが計算されつくられていたその完成度ゆえだと思います」

1_『ゲッタウェイ』

ゲッタウェイ

裏工作で刑務所から釈放されたドクは、見返りとして妻のキャロルたちとともに銀行を襲って50万ドルを奪う。一味の裏切りにあうが返り討ちにして助かり、また組織に追われる身となってメキシコへと逃亡……。
出演/スティーヴ・マックィーン、アリ・マッグローほか 監督/サム・ペキンパー 1972年 写真 アフロ

同じような完璧さを感じたのが『レオン』でした。

「作品要素がいちいちおしゃれ。改めて観直しても今に通用するスタイルがあります。ナタリー・ポートマンの短めの前髪、前下がりのボブはモードそのもの。眉が一本ずつ立ち上げられていて。レースニットにショートパンツにワークブーツ。

そもそも12、13歳は人間性や志向を形成するのに重要な年ごろだと思いますが、女の子の生きざまがそのままにファッションとして投影されていました。ジャン・レノのニット帽にチェスターコートというのも人間味とスタイルをうまく合わせビジュアル化していた」

ファッションに魅了されるといってもスタイルを真似する対象などではなく、人物や物語がそこにぎゅっと盛り込まれる様子にぐっとくる美木さん。

2_『レオン』

レオン ナタリーポートマン

NYが舞台。家族を殺され孤独となった12歳の少女マチルダは、隣室に住むイタリア系移民で殺し屋稼業のレオンに救われ、彼のもとに居つく。マチルダは家族の敵を討つことを決意し、コンビを組もうとレオンを頼るが。
出演/ジャン・レノ、ナタリー・ポートマンほか 監督/リュック・ベッソン 1994年 ©1994 GAUMONT

3作目は「最初少し陰鬱な雰囲気がなじみづらかったのですが、登場人物の内面と外見との関係に興味をそそられ、細部まで見入ったのが『めぐりあう時間たち』です」

ニコール・キッドマン、メリル・ストリープ、ジュリアン・ムーアが共演し、それぞれの物語の主として交錯します。

「3人、そして夫たちもそれぞれ素晴らしかったけれど顔やヘアの作り込みや繊細な表情、所作など見どころが多かったのはヴァージニア・ウルフ役のニコール・キッドマン。

彼女とはわからないほどの別人メイク、つまり実在しない顔をつくりあげて、ウルフの苦悩や時代性を創作したのだと思いました。後れ毛一本一本に光があたり、怖いほどきれい。服の色合い、コーディネートも時代に加え彼女の内面の痛々しさを伝えて」

配色が不気味なケーキやクラシックな花束、インテリアなど美術にも感服。「生活とかけ離れ過ぎない舞台設定で、微細なところまで心が尽くされ物語が高まっている映画、もっと観たいです!」

3_『めぐりあう時間たち』

めぐりあう時間たち

『ダロウェイ夫人』を1923年に執筆した作家ヴァージニア・ウルフは1941年に入水自殺をするが、この作品にまつわるヴァージニアはじめ3人の女性の葛藤をそれぞれの1日を通して描く。
出演/ニコール・キッドマン、メリル・ストリープ、ジュリアン・ムーアほか 監督/スティーブン・ダルドリー
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PROFILE

美木ちがや/みき・ちがや

トータルビューティデザイナー

「KAWABE LAB」を主宰。大人の女性に寄り添ったヘア&メイクやファッションへの提案を行う。母・川邉サチコさんの新刊『87歳。“私基準”で生きる』(プレジデント社)のヘアメイク、スタイリングを担当。「87歳のファッションに注目!」

『クウネル』2026年5月号掲載 
写真/須藤敬一、取材・文/原 千香子

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美木ちがや

美木ちがや

トータルビューティデザイナー。母の川邉サチコさんとともにKAWABE LABを主宰。一人一人に合ったヘアメイク・ファッションスタイリングを提案。ジュエリー・ファッション・コスメなどの商品開発の他、フォトグラファーなどマルチに活躍中。
http://www.sachikokawabe.com/
Instagram : @chigaya_miki

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