在パリ6年のクウネル・サロンメンバー松永加奈さんのフランスレポート。今回のテーマはパリでも人気という日本の麺について。ラーメン、そば、うどん、パリっ子たちにも大いに愛されているようですが、どうしても受け入れてもらえないカルチャーが……。
近頃、フランスのスーパーでも、フィルムに巻かれた「おにぎり」や、蓋つきの容器に入った「丼もの」が並ぶようになりました。高すぎる値段(おにぎり1つ400円以上!)、パッケージに綴られた微妙な日本語など、それなりに突っこみどころはあるものの、日本食がどんどん身近になってきているなと感じます。
パリには正統派からオリジナル(?)まで、たくさんの日本食店があり、特に「ラーメン」「うどん」「蕎麦」が人気で、店頭に列ができることも珍しくありません。当然、みんな並ぶほど日本式の麺が好きなわけですが、食べ方はフランス式のフリースタイル。そしてそこに見えるのは、フランスの食文化です。例えば、フランスで「麺をすするのはマナー違反」というのは有名な話。でもラーメンは好き、食べたい!という場合、どのようにするのかというと?
麺をすすれないフランス人の食べ方やいかに?
私が見聞きした方法はいくつかあり「フォークでくるくる巻いて食べる」「箸で麺を取りひたすら口へ運ぶ」「スープに麺を落としまくっても気にせず何度でも掴み上げて食べる」…など。一番最後の方法はスープが飛び散るので周りの人の迷惑になりそうですが、本人いわく「すするのは絶対に避けたい」のだとか(いやでもその方がマナー違反では?)。さらによくある方法が「スープを飲み干した後に麺だけまとめて食べる」「最初に麺だけ取り出して別々に食べる」というやり方。フランス人はスープ好きゆえに、麺ありきのメニューでも「スープメイン」になる人が多いんだそう。それならラーメンじゃなくてもいいような…。以前、スープを飲みながら、別皿に取り出した麺をナイフとフォークで切って食べる人を見たときは「え、そこまでして?」と思わずにはいられませんでした。
(※)越前そば 東郷 @togo_paris
そば抜きつゆだくの注文も
ラーメンだけでなく、そばでも同じようなことが起きていて、いつも行く日系のおそば屋さんには「そば抜きつゆだく」という常連さんがいるんだとか。つまりオーダーは「お出汁のみ」!そば屋でそば抜きって…。そば処出身の私には理解しがたいですが、それほどそこのお出汁が気に入っていて、お店の方も「ご本人がそれでいいのなら」とのこと。まあスープだけ飲んで麺を残すくらいなら、そのオーダーの仕方もなくはないのかも。どうでしょう?
ちなみに、熱いものが苦手で、さらにおしゃべり好きが多いフランス人。冷めるのを待ち、話に夢中になる、そんな彼らの前にある麺がのびのび状態になることは既定路線。「文化の違いだから仕方ない」とは思いつつ、ラーメンもうどんもそばも、のびないうちに(早めに)食べようとする人を見ると「そう!そーう!」と、ちょっとうれしくなる日本人の私です。
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