在パリ6年目の<クウネル・サロン>プレミアムメンバーの松永加奈さんのパリレポート。今回のテーマは、フランス人の主食・パンについて。パンの本場で、近年話題の〈バブカ〉や真っ黒なパンとは?
フランスの食卓…というより、日常に欠かせない「パン」。日本で「ごはんさえあれば」という感覚と同じように、フランスではいつでもどこでも「パンさえあれば大丈夫」。基本的にごはん党の我が家ですが、家から徒歩10分圏内に10軒以上のパン屋さんがあるので、朝食やおやつにはしょっちゅうお世話になっています。
パン屋さんには、バゲットやカンパーニュなどバターや砂糖を使わないパン、クロワッサンやブリオッシュのようなバターたっぷりの甘いヴィエノワズリー(菓子パン)、その他にサンドウィッチや、お店によってはケーキや焼き菓子なども並びます。
とにかくバゲットさえあれば
どれも普段の食事やおやつに食されますが、特にバゲットは、人が集まるピクニックやパーティでもマストな存在。友人宅のアペロへ向かう途中「バゲット買ってきて」と連絡があるのはお約束。ホームパーティに伺ったお宅のテーブルの下に薪の束があると思ったら実は大量のバゲットで、「こんなにたくさんどうするの?」と思っている間に次々と消費され、パーティが終わる頃にはバゲットも終了。おつまみに主食にと、その万能ぶりに驚いたこともあります。
日本の「食パン」のような「パン・ド・ミ」という角食もありますが、生地は日本に比べるとちょっと固め。スーパーにはカットされた袋入りがあり、クロックムッシュやサンドイッチ、子供の軽食にも使われることが多いようです。街のパン屋さんには、昔ながらのシンプルな『定番』が揃っていることは大前提で、チーズやトマト、フルーツ、ナッツ類などが入ったパンはありますが、日本の『お惣菜パン』的なものはありません。
パリでブームのバブカ
そんな中、最近人気なのが「BABKA(バブカ)」。バターたっぷりのブリオッシュ生地にチョコレートが入った中東発祥のこのパンは、ブリオッシュもチョコレートも大好きなフランス人(と私)の心をわしづかみ!今やいろんなお店で見かけるようになり、専門店には絶えず行列が。
真っ黒パンも流行中
また、人工的な品種改良がされていない「古代小麦」が原料のパンも話題です。安心安全であることはもちろん、かむほどに広がる古代小麦の深い味わいが、パンを愛する人々から支持されています。さらに、ベジタブルカーボン(活性炭)や黒ごまを使った真っ黒いパンも登場。食感や味だけでなく、今までにない見た目のインパクトでも注目されています。
多くの規制がかかる昨今の状況下でも、新しいパン屋さんは次々とオープン。味や食感、素材へのこだわりを聞いては「行ってみたいお店リスト」に書き込みが増える一方、歩いていてパンの焼けるいい匂いしてくると、ついふらふらとそのお店へ…。パリにはおいしいパンは数あれど、最後は「焼き立てにはかなわない」と思ってしまう私なのでした。
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