フランスの暮らしに浸透しているマルシェ。食料品を中心に、衣類、雑貨など色々なものが売られている市場のことです。パリだけでも80以上のマルシェがあり、市民の日所生活に欠かせないものとなっています。〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーの松永加奈さんもマルシェが大好きだそうです。
野菜や果物、肉、魚、チーズなどの食材から、お惣菜、衣類、日用雑貨に至るまで、さまざまなお店が並ぶマルシェは、フランス生活に欠かせない存在。そしてフランス人が大好きな場所でもあります。今回は、普段使いのマルシェでの食材調達の様子をご紹介します。
パリ市内に数十軒あるマルシェは、屋外に定期的に立つものと、屋内に常設されたものがあり、営業時間や曜日もそれぞれ違います。また「BIO専門」「お惣菜が豊富」「安い」などそれぞれに特徴が。私は週に1~2回、歩いて15分ほどの屋外マルシェへ通っています。ここは料理人の方も多く訪れる「食材の多彩さ」が特徴です。そしてマルシェの魅力はなんといっても、新鮮な旬の素材が並ぶこと。春には「白アスパラが出た!」、夏が終われば「そろそろキノコだよね」と、マルシェで季節を感じながら、みんなが旬の味を心待ちにしています。
さて、買う際には並んで順番を待ちます(これは鉄則)。自分の番になれば右へ左へ移動しながら欲しいものを伝え、お店の人がピックアップするのが基本。重さが分からなければ「このくらい」と手で表すなど、とにかく伝わればOKです。慣れていなかった頃は、手順が分からず焦っていましたが、今では身振り手振りも交えてクリアする術を身に付けました。そして帰宅すると、大量の土付き野菜を洗ったり、大きな肉の塊を切って冷凍したりと大忙し。買ったばかりの人参などをぽりぽりかじりながら作業しますが、終わるとソファに倒れ込む…と、毎回なかなかの重労働です。
みんながマルシェを好きな理由は「おいしいものが買える」ということももちろんですが、お店の人とのやり取りも楽しみの1つかもしれません。後ろに人が並んでいてもお構いなしで会話を続ける人もいて、おしゃべり好きなフランス人らしいなあ、と待ちながら思います。私もお店で調理方法を教えてもらったり、ちょっとしたやり取りをすると「これでまた半歩くらいはパリジェンヌに近づけたかな?」と帰り道の足取りが少し軽くなり、マルシェ通いがまた好きになるのです。