【松永加奈のフランス便り14】日本で超定番のあのケーキが、お菓子の本場・フランスでは希少って本当?

パリ在住5年目のメンバー・松永加奈さんが、時々、無性に恋しくなる日本のフードのひとつが、ふわふわスポンジのショートケーキ。フランスはケーキの本場ですが、意外にもショートケーキは無いのだそうです。
言わずと知れた”スイーツパラダイス”のフランス。名だたる高級店から普段使いのお店まで、パリにもたくさんのパティスリーがあります。ショーケースに並ぶケーキはどれもおいしそうで、あれこれと目移りしてしまいますが… … あれ?何かがないような?
そう、日本ではおなじみのショートケーキがないのです。
フランスのケーキは、スポンジやタルト、パイ生地がベース。その上に、しっかりとしたクリーム(カスタードクリーム+バターなど)やフルーツ、トッピングなどが重なり、1つのケーキで数種類の食感があることが基本です。もちろん甘さもはっきりしていて、小さなピースでも食べ応え十分。なので、日本のショートケーキのような「ふわふわのスポンジを生クリームで飾ったもの」「軽い口当たりのケーキ」は、もともと存在しないのだそう。
しかし、ここ数年は日本人パティシエの活躍で、パリでもショートケーキやロールケーキの認知度が高まって来ています。先日、フランス人が集まるパーティに、日本人パティシエールのロールケーキを差し入れたところ、初めは「食後にこんなにシャンティ(生クリーム)たっぷりで食べ切れるかな」と戸惑っていましたが、全員ぺろりと完食。厚めのスポンジや、甘さとボリュームのバランスも「おいしい!」「これはアリ」と好評で、スイーツ文化の変化と広がりを実感しました。

季節の味や伝統を大切にしているフランス菓子は私も大好きですが、やはり「日本の洋菓子」はときどき無性に食べたくなるもの。海を超えて伝わるそれぞれの味が交流して、また新しいおいしさを作り出していくといいなあ…と、今日もケーキを食べながら思っています。
フランスのいちごケーキ「フレジエ」。スポンジ生地に、濃厚なバタークリームといちごがたっぷり。生地やトッピングのバリエーションで食感の違いを出します。
パティスリーのショーケース。ケーキは異なる素材が層を作りピースは小さめ。中央に並ぶのはフレジエ、手前はちらりとレモンクリームが見えるタルトシトロン。
ケーキも売られているパン屋さんには「Boulangerie」「Pâtisserie」と併記されています。パン職人とパティシエ、フランスではどちらも国家資格が必要です。
パン屋さんのショーケースにもさまざまなケーキが。バゲットだけ買いに行ったのに、つい甘いものも…ということもしばしば、いやしょっちゅうかな。
7月14日の革命記念日にはこんなエクレアも。私はフランスでは、いつもパン屋さんでエクレアを買っています。
日本では定番のロールケーキは、幅広い世代のフランス人に大好評でした。年長者からは「さらにトッピングがあってもいいな」というフランス人らしい感想も。
フランスのおやつの定番はカスタードクリームを焼き上げた「フラン」。ケーキというよりお菓子のイメージですが、誕生日ケーキとしても子供たちに人気です。
日本でいちごのケーキといえば「スポンジ×生クリーム×いちご」。スマホで「ケーキ」と打てば絵文字で出てくるのもこのビジュアルというほど私たちの定番です。
