ステイホームが当たり前となったこの一年。我が家の家仕事に「野菜を干す」という楽しみが加わりました。一回目の緊急事態宣言時、なんとか外出(買い物)の機会を減らせないものかと始めたのが、食べ物の保存方法として古くから伝承されている「干す」という手段でした。
干し野菜―――。東京・下町で生まれ育ったわたしにとって、それは昔、祖母の自宅の縁側に吊り下げられていた干し柿や、スーパーで買ってくる「どんこ(干しシイタケ)」や切り干し大根くらいしかイメージになく、買ってきた野菜は、長年なんの疑いもなく、冷蔵庫の野菜室で保存してきました。
でも……みなさんも、ありませんか? 野菜室の奥底から、中途半端に残してグズグズになったエノキや、ひょろひょろに痩せ細り、変色したニラやネギが出てきたこと! この家庭内食品ロスが、干すだけで簡単に防げるんです。
転機は、前述の緊急事態宣言。加えて、近所の「3COINS(スリーコインズ)」 で、「ドライフードネット」という野菜を干すための吊り下げ式ネットを見かけたことでした。ものは試しと買って帰り(失敗しても300円ですしね)、さっそく冷蔵庫に残っていた野菜を適当な大きさに切り、水けを拭き、重ならないようにネットの中に並べたら、いざベランダへ。あとは待つのみ。たったこれだけです。
野菜は、ぜひ隙間なく並べてください。保存できるので、できるだけたくさん作っておくと便利です。野菜の種類や切り方(切った断面が大きければ、水分は抜けやすくなります)、環境(我が家のベランダ、日当たりだけは自信アリ)にもよりますが、だいたい2日程度で、かなりサイズダウンして、驚くほど軽くなります。
干し野菜最大のメリットは、水分が飛んで、素材が持つうまみと栄養価がぎゅーっと濃縮される点だと思います。つまり、なにも手をかけていないのに、「太陽」という自然の偉大な恩恵を受け、勝手においしくなってくれるのです!
我が家では、干したキノコ類や根菜は、お味噌汁の具としてすっかり定番になりました。お味噌汁といえば、これまでずっと、当たり前のように昆布やカツオ節で出汁を取ってきましたが、干し野菜はそのものからうまみ成分が出るので、わざわざ出汁を取らなくても十分おいしいのです。さらに、大根の葉など、普段は捨ててしまっているところも、干すだけでおいしくいただけて、とってもエコなのです。
次回は、干して甘みの増したミニトマトを使ったおすすめの一品を紹介します。
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写真/文 権 佳恵