おしゃれリーダー、そして正直すぎる恋愛人だった宇野千代。紡がれた言葉は持ち前の明るさと真実味にあふれて。【かっこよく生きるための言葉】

宇野千代

それぞれの時代で輝き、「かっこいい女性の生き方」を私たちに見せてきてくれた方々。自分の足で立ち、新しい道を切り拓いてきた彼女たちの言葉は力強く、示唆に富んでいます。作家・宇野千代もそのひとり。改めてその生き様を振り返り、潔い言葉の数々を味わいましょう。

PROFILE

宇野千代/うの・ちよ

作家
1897〜1996

山口県、現岩国市生まれ。1921年『脂粉の顔』でデビュー。代表作に『色ざんげ』『おはん』『生きて行く私』ほか。小説、随筆に加え『スタイル』誌の編集、着物のデザインなどでも生涯、活躍。今秋からのNHK連続テレビ小説の主人公のモデルともなる。

多彩な才能、魅力を使い尽くし太く長く真っすぐ生き抜く。

20、30代は出会いと別れの中で、自分の生き方をベースに圧倒的な筆で小説を生み、生きました。正直すぎる恋愛人だった宇野千代。それまで身を置いていた所でのことを思い出す間もなく、突然恋に落ちその日から共に暮らしやがて振られ……。作家・尾崎士郎や画家・東郷青児との生活はそんな経緯だったし、梶井基次郎等との恋愛未満?の関係も捨て置けない。後にエッセイで心のままの行動に後悔なしと語る態度は清々しく「言い訳しない、追いかけない」かっこよさは女々しさの真逆にあったと言えます。

化粧、服装など常に個性的で意識的。いち早くボブヘアになり旋風を起こしたおしゃれリーダーであり、昭和11年39歳で日本初の女性ファッション誌『スタイル』を創刊、おしゃれのスピリッツや実践法を届けた先端ぶりも特別! 戦後に復刊、隆盛を極めたのちに倒産、60歳代で公私のパートナー北原武夫と離婚……と波乱万丈。ただ、憂き目を引きずらず着物デザインにも腰を入れ、書くことにも「一生懸命」は続きました。自伝的小説『生きて行く私』が大ヒット、宇野千代ブームが訪れたのは85歳を過ぎた頃。

生き方の指針を求められると、よく取り上げたテーマの一つが、幸福。幸福か不幸かは本人の気持ち次第というのが持論でした。また自ら怠らないおしゃれには一家言、年齢を重ねることを受け入れるあっけらかんとした発言も。積みあげた自身の暮らしの中から発した言葉は、持ち前の明るさと真実味があふれてずっと私たちの心をとらえます。

宇野千代

シンプルな色柄の着物を好んだ。1985年ごろ、岩国の錦帯橋にて。写真/柴田博司(マガジンハウス)

宇野千代が残した言葉。

宇野千代

後の文章で、お洒落は「自分に接する人たちの眼に、気持ちよく映るように」と言う。生き甲斐と思えば楽しくなるもの。服装も髪形も化粧も、心や手を尽くすのが当たり前という人だった。

宇野千代

幸福も不幸もその人自身が作り、そして伝染するものではと確信し、ならば自分にも人にも幸福だけを伝染させるんだ!と実践した。「花咲婆さんになりたい」という文章にある。

宇野千代

思い悩みすぎるなというメッセージはマチュア世代にはありがたい。人生は日々、考え方ひとつで面白く楽しいという生き方哲学は断捨離に悩む人だけでなく多くの人を救う。93歳の発言。

作家・三宅やす子、娘の艶子とは親しく、こちらは孫の三宅菊子が聞き書きしたもの。作家に大切なのは?として語る一節。クリエーターに必要なことは誰にでもいつでも応用が利く。

『クウネル』2026年7月号掲載
取材・文/原 千香子

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『クウネル』NO.139掲載

これからを生きるための「言葉の力」。

  • 発売日 : 2026年5月20日
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