友人にお茶がおいしくないと言われ、土瓶をすすめられたことからお茶をはじめた本田依子さん。本田さんのお茶の楽しみ方を伺いました。
本田依子さんのお茶タイムの主役は茶道で使う風炉です。「 きっかけは歯に衣着せぬ友人に、お茶がまずいと言われ土瓶をすすめれたことから。近所の古道具屋さんの店主からは、”土瓶や鉄瓶はガスの火じゃダメだよ”と一言。いろいろ考えてたどりついたのが、この風炉でした」
炭で浄化した水を土瓶に注ぎ、風炉で穏やかに沸かす湯は確かにまろやかでおいしい。本田さんの1日はこの極上白湯ではじまり、お茶タイムは朝食後と午後、夜の3回。いつも側には風炉があり、コポコポと湯の沸く音に癒されながら日本茶や紅茶を楽しみます。手が届くところに沸き立ての湯がある贅沢さが、お茶の時間を一層豊かにします。お気に入りのお茶は京都の友人宅でいただいた松葉茶。静謐なひとときに合う松の香りと風味は、気持ちを浄化したいときによく飲むそう。
「同じお茶でも、その日の天気や一緒に飲む人との会話、茶器や菓子の選び方で味わいが変わります。お茶の時間は一期一会のようで、奥が深いです」
本田依子/ほんだよりこ
帽子デザイナー
帽子好きだった両親の影響で帽子デザイナーへ。東京・駒沢で「ベルレッタ」を営む。デザインから仕上げまで、一点一点をハンドメイドでていねいに作っています。
『ku:nel』2020年7月号掲載
写真 森山祐子/取材・文 高橋敬恵子