建築家の父から継いだコンパクトな家。エッセイスト・宮脇彩さんのくつろげる部屋(後編)
ほっとする、リラックスできる、落ち着く。クウネル世代にとって部屋は、くつろげることが大切です。それは、家族の形態が変わりひとり暮らしをするようになっても、実家を引き継ぎリフォームすることになっても、都心から自然豊かな地に暮らし替えをしても、そしてパリのアパルトマンでも。自分のスタイルとさまざまなストーリーを持つ16組のくつろげる部屋をお届けします。今回はエッセイストの宮脇彩さんのお部屋です。
間取り
メンテナンスを重ね、住みつないでいく。
宮脇さんがインテリアで大切にするのは「収まり」。父から受け継いだものとものの余白にぴったり収まるように、自分たちの暮らしの品をはめ込みました。たとえば冷蔵庫。作り付けの食器棚の間に、絶妙のサイズ感で収まっています。色は壁の色と同じ黄色。「20年近く使っているので、そろそろ限界かな?と思うのですが、ここに合うサイズと色のものを見つけるのが本当に難しくて」
熟考のうえサイズが合う冷蔵庫を、業者に頼んで黄色に塗り替えてもらうことを検討中。「コストも手間もかかってしまうけれど、背に腹は代えられない」
安易に新しいものを買わず、あるものをメンテナンスして使い続けていく……。これが「受け継ぐ者」の使命でもあり、喜びでもあるのかもしれません。
PROFILE
宮脇彩/みやわき・さい
エッセイスト。暮らしのエッセイを執筆。著書に『父の椅子 男の椅子』『バゲット アスパラ 田舎道』(ともにPHPエディターズグループ)、『ごはんよければ すべてよし』(講談社)。
『クウネル』2024年7月号掲載 写真/大森忠明、取材・文/鈴木麻子
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『クウネル』NO.127掲載
くつろげる部屋が好き!
- 発売日 : 2024年5月20日
- 価格 : 1000円 (税込)