【マチュア世代へ…おやすみ前のミニエッセイ】フリーアナウンサー・八木亜希子さん「十人十色」

八田亜希子 エッセイ

Short Essay:
十人十色

歳を重ね、様々な人に話を聞き、多くの情報を得て、最近しみじみと感じる事は、人間の身体は複雑で十人十色だということだ。

コーヒーやチョコレートは、ある人にとっては毒となり、ある人にとっては薬にもなる。身体が喜ぶことは人によって違うのだ。

思考もまた然り。土曜日の朝のラジオ番組で、毎週一冊、本を紹介している。下は20代から上は80代まで、様々な世代の友人知人に勧められた本を片っ端から読んで感想を伝えて、 かれこれ6年以上になる。

ボーイズラブや捕り物帖、ルポタージュまで、嬉しい出会いもたくさんあるが、中にはどうしてこれが良かったのだろうと思うような訳の分からない話や思いっきり暗い話もある。

100ページ読んでその世界に入れないなら、無理せず一旦本棚に置くことにしている。今の自分に合うかは、自身で味わってみなければわからない。

面白いと思う感覚も人それぞれ、十人十色だ。 多数派と少数派はあっても、正しいも正しくないもない。ただ自分の心身は隣の人とは違うということ、そんな当たり前のことに日々気づかされる今日この頃。

今の常識が10年後には非常識になり、邪道がいつの間にか正道になる。これもまた歳を重ねて体感することだ。だからこそ、周りに流されず、自分の五感を研ぎ澄まし、内なる声に正直でいようと思う。

文/八木亜希子、写真/久保田千晴

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