現役コンシェルジュの仕事の工夫。複雑なごみの分別法、海外ゲストにわかってもらうには

重盛佳世さんのコンシェルジュのお話

〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーのKayoさんこと重盛佳世さん。38歳で会社を辞め、直感に導かれるままイギリス留学を決めました。その後、英会話の本が大ヒットという人生の大転換をアラフォーで経験しました。今回は現在も勤めているコンシェルジュ業で悩んでいたという、海外のお客様のゴミ分別に関するお話です。


「どうして分からないのだろう?」ではなく「どうしたら分かってもらえるのだろう?」に変えてみる!


イギリスの公園でみかけたゴミ箱
イギリスの公園でみかけたゴミ箱。分別表記が明快で、誰もが理解できます!

私は海外からやってきたビジネスマンが滞在する宿泊施設のコンシェルジュをしています。

働き始めて最初の難関が、滞在者のゴミの捨て方の悪さでした。施設のゴミ庫では、「可燃ごみ、不燃ごみ、ビン、缶、ペットボトル、スプレー缶、段ボール&雑誌」と7種類のゴミの分別があります。各ゴミ箱には英語で分別表記をしているのですが、なかなか分別にご協力いただけませんでした。

そうなんです、いくら海外からの優秀なビジネスマンたちであろうと、ゴミの捨て方まではスマートにはいきません。細かいゴミの分別がない国もありますし、お国柄でこういうことが苦手な人たちもいます(笑)

施設側からは、外国人のゴミの捨て方が悪いと、コンシェルジュが注意を受けていました。私たちは仕方なく、朝晩の業務にゴミ庫の巡回を加え、ゴミの分別をすることにしましたが、一生懸命分別しても、次の日にはぐちゃぐちゃ。「どうしてやってくれないのだろう…」と切なくなっていました。

そんなとき、私はイギリスでのある恥ずかしい体験を思い出したのでした。

あるとき、私はデパートのトイレに何気に入ったのですが、なかなか流れず苦労しました。そしてトイレから出てくると、小さな子供が私を指さして「あの人、入っちゃいけないところから出てきたよー」と母親に言ったのです。ハッとし、扉を見ると「OUT OF ORDER(故障中)」の小さな貼り紙。

当時の私はこの意味が分からず、人間の生理現象に負けて思わず使用してしまいました。それ故、子供から指摘を受けたという、なんとも情けない話。(今でも鮮明に記憶に残っています。)もしあの時、トイレの扉に文字だけではなく、使用禁止や故障のマーク(絵)が貼ってあったら、私も気づいたのではないか?と思ったのです。

重盛さんがスペインで見つけたトイレマーク
スペインで見つけたトイレ表示。ピクトグラムが滑稽で、思わず撮影してしまいました(笑)

私は早速、分別を理解してもらうためのPOP作りをはじめました。

まずは、ゴミ庫の各ゴミ箱にリアルなゴミの絵を入れました。例えば、可燃ごみなら「生ゴミ、紙屑、洋服、プラスチック… … 」、不燃ごみには「ガラス、せともの、電池、ライター、かみそり、ハンガー … … 」と。

とにかく、なるべく細かく分かりやすく載せました。また、「ゴミの分別は部屋でやるものだから、各部屋にも分かるものが必要!」と、ゴミ庫で表記したPOPをA4の資料におこし、「ゴミの分別にご協力ください」とタイトルを入れて各部屋へ配置。更に、部屋のゴミ箱の蓋の裏にもそれぞれのゴミの絵を入れたのでした。

するとどうでしょう……今までぐちゃぐちゃに捨てられていたゴミが、見事に分別されるようになったのです!!!

そうなんです、海外の人たちは「やってくれない」のではなく、分からなかっただけで、こちら側の説明不足。丁寧に表記すれば、快く協力してくれたのでした。

現役コンシェルジュの重盛さんが考えたゴミの捨て方アイデア
各ゴミ箱にそれぞれのごみの絵を付けることにより、解りやすくなりました!

その後も、ちょっとした問題は日々出てきます。

ある時、ペットボトル用のゴミ箱にプラスチックのゴミが入っていました。その時は、ペットボトルのマークを表記して「このマークの付いたものだけ捨ててください」と掲示したところ、その問題はすぐに解決!また、不燃ごみにコンビニ弁当のケースが入る期間があったので、お弁当ケースのイラストを入れて「これらは可燃ごみへ」と表記したら、ピタッとなくなりました。

滞在されている海外の方々は、日本のルールに従おうと協力して下さっているのだから、やってくれないと文句を言う前に、相手の立場になって、なるべく分かりやすくお伝えしていこうと、思いやりの気持ちで接するようになったのであります。


【kayo’s message 】
郷に入っては郷に従え
When in Rome, do as the Romans do.


重盛さんが留学先で撮った写真

直訳すると、「ローマではローマ人のようにしなさい」。もちろん、海外でもよく使われるフレーズです。滞在先の文化や習慣を理解しようと努力すれば、思いがけない気付きを得られます♪

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