映画鑑賞をすると、見たことのないタイプ!と驚いたり、知らなかったその地の事情に出くわしてハッとしたり、そこから思わぬ「学び」を得られることもしばしば。今回ご紹介する映画通の方々がおすすめするアジア映画は、新しいセンス、知らなかった事情との遭遇を、楽しめること間違いなしの作品です!
今見たい!アジア映画特集
女優・渡辺真起子さんのおすすめ!
『マルリナの明日』
筋の通った女のウエスタン!
荒野の一軒家に住む訳ありふうなマルリナが強盗団に襲われ……。「映画のキャッチはナシゴレンウエスタン! 次はジェシカ・アルバ主演でアクション作を撮るインドネシアの女性監督です。女性が世界を開拓していくお話だと受け取りました。スタイルも精神もウエスタン」。
『ポップ・アイ』
軽やかなのに深く響く心の旅。
昔飼っていた象とともにバンコクから田舎をめざすおじさんのロードムービー。「やり残したことを果たしたい男の心の旅を優しく語り、時間の見せ方も見事。都市と故郷の関係もさりげなく描かれています。モダン!」。NYを拠点とするシンガポール出身の30代女性監督の作品。
作家・茅野裕城子さんのおすすめ!
『レッド・ファミリー』
ありえる?ありえない?の妙。
北朝鮮の工作員で構成された偽家族が隣家とつき合ううち、任務遂行に予想しない障害が起きてくるという韓国映画。「朝鮮半島の南北関係が題材の映画は何本か観ていますが、他にない設定、発想が印象深いですね。フィクションなのにどこかリアルで、知の冒険を楽しめる感じ」。
アジア映画研究者・松岡 環さんのおすすめ!
『別離』
イラン発、大人のサスペンス。
イランも「いい映画」の産地。「離婚の危機にある夫婦を中心に秘密や嘘がクロスする会話劇で、意外な展開もあって引き込まれました。伏線が用意され、介護、家族、宗教、国外脱出といった要素も織り込まれます。初めての感覚を味わえるのでは」。テヘランの都会ぶりも驚き。
フォトグラファー・中川真人さんのおすすめ!
『タクシー運転手 約束は海を越えて』
重い歴史背景を語る力に感服。
韓国に赴き光州事件を取材した外国人記者と随行したタクシー運転手。実在の人物をモチーフに市井の人々が悲劇的歴史を生きたドラマ。「ソン・ガンホの、調子がいいけど正直で熱いキャラはリアルに響き、またどっしりした演出、脚本もさすが。初めて深く事件を知りました」
『子猫をお願い』
共感、衝撃が瑞々しく残る。
「今観てもフレッシュな感覚が溢れる映 画です。ぺ・ドゥナを初めて知って素晴らしい女優!と感じました」。それぞれ厳しい現実に囲まれている高卒の女の子、5人。この友達関係に子猫が迷い込んで以降……起きる出来事とは? いきいき胸に残るガールズムービー。
●映画と共に、お食事も楽しんでみてはいかがでしょうか?
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『ku:nel』2020年9月号掲載
取材・文/原 千香子、青木純子