【樋口直哉さんのおにぎり考察/後編】コンビニのご当地おにぎり事情や余った時の保存法。

樋口直哉 コンビニ おにぎり

コンビニ商品の象徴としておいしさと簡便さアップを果たしてきた、おにぎり。その世界を眺めつつ、よりおいしく味わう方法を作家・料理家の樋口直哉さんが考察。前編に引き続き、ご当地おにぎり事情や余ってしまったおにぎりの保存方法について。

前回記事
【樋口直哉さんのおにぎり考察/前編】三角形の秘密、温めて食べるか問題など

意外に重宝なお赤飯。ひと手間でよりおいしく。

〈上 〉もち米もっちり 赤飯おこわおむすび ¥129 セブン-イレブン 北海道産小豆を使用。もち米の甘 さやもちもち感を出すせいろ蒸し。 〈右〉 せいろ蒸し赤飯おむすび ¥130 ファミリーマート 北海道産大納言小豆を使用。食感 に加え鮮やかな色合いが特徴。    〈左〉 おこわおにぎり 赤飯 ¥135 ローソン ささげ豆の香りと風味にこだわっている。もちもちの食感。

わざわざ作るのには手間がかかるということで、小人数の食事 にもお役立ちなアイテム。せいろで蒸し直す古来の方法にカギが。

/

セブンイレブンが1996年に発売した『赤飯おこわおむすび』は炊飯ではなく「せいろで蒸す」という製法を採用したことで、驚きをもって迎えられました。 今では各社がそれぞれの赤飯むすびを販売しています。形としてはセブンイレブンが丸型で、ロー ソンとファミリーマートが三角。セブンイレブンはご飯を熱いまま成形するHOT成形という技術でふっくら感を残したまま丸い形にしているよう。 各社、豆の硬さや米のやわらかさに違いはあれども、せいろで蒸し直すとぐっとおいしくなります。湯気もごちそうの一つ。面倒、というなら電子レンジで。その場合はレンジ後に布巾などに包んで蒸らすといいでしょう。

訪ねた場所で味わってみたい。ご当地おにぎり。

味付のり 焼鮭 ¥135 セブン-イレブン  近畿エリアの商品。鮭の手巻きは焼き海苔タイプと両方を販売。

セブン-イレブンの味付のりおにぎりは、西日本や中京エリアで常時ラインナップ、焼き海苔のおにぎりと人気を分ける。

/

日本の食は地域によって異なり、例えば関東では味のついていない焼き海苔が一般的ですが、関西では『味付け海苔』を使う食文化。コンビニエンスストアは均質化の象徴のようですが、地域ごとに違った商品を出しています。今回はいくつか試食しましたが、味付け海苔のおにぎりは関西のだし文化を感じるやや甘めの味付けが印象的。 北海道の甘納豆の赤飯も変わっています。甘い赤飯は北海道、青森、岩 手、山梨などに残る食文化ですが、ご当地おにぎりは比較的甘さ控えめで、 万人向けの味になっていました。旅先、素泊まりプランのホテルで過ごした翌朝、朝食にいいかもしれません。なかなか旅に行きづらいご時世ですが、ご当地おにぎりにはちょっとした旅情がありました。

ヘルシー系はこれからまた展開がありそうだ 。

胡麻さけおにぎり ¥120 ローソン

鮭と金ごまを混ぜ ご飯に。最近の改 訂で塩分ダウン、 添加物削減を目指 し味付けを見直し。

国産もち麦入り枝豆と 塩昆布おにぎり ¥125 ローソン

栄養価と食感、風 味で考えられた枝 豆×塩昆布の組合 せ+もち麦入りで ヘルシー。

もち麦もっちり! 梅こんぶ おむすび ¥124 セブン-イレブン

梅と切りこんぶをマッチング。もっちりした食感で一 個に食物繊維4.4 gを含む。

スーパー大麦 紅鮭わかめ ¥128 ファミリーマート

一般大麦と比べ2倍の総食物繊維を含むスーパー大麦を使用、相性いい食材を掛け合わせ。

/

食品開発の世界では〈「ヘルシー(健康)」を売りにした商品にヒットはな い〉と言われていた、と聞いたことが あります。お客さんにアンケートをとると「ヘルシーなものが食べたい」と答えるのですが、実際に食べ物を前にすると「おいしそうなもの」を選んでしまう、というわけです。しかし、それはどうやら過去の話。 最近、コンビニおにぎりの棚にも健康志向の商品が定着しました。その理由はもちろん「おいしくなったから」。米や雑穀の種類によって浸漬時間を変えたり(セブンイレブン)、 水や気温などによっても異なる炊飯具合をチェックし、もちもちした食感を実現しているそうです。この商品展開は今後も伸びると思います。みそ汁やスープなどと一緒に食べるには適したおにぎりと言えるでしょう。

冷凍&解凍法は今一度、確認のこと。

手巻きタイプ、直巻きタイプともに包装のままバットに並べて冷凍庫へ入れる。

手巻きは冷凍庫から出したら海苔を別にし、ご飯だけゆるくラップしレンジに。蒸らすのがポイント。

/

おにぎりを買ったけれど余ってしまった……という経験はあるでしょう。 つい冷蔵庫に入れてしまいたくなりますが、冷蔵庫内は最も米のデンプンが 老化=おいしくなくなる温度帯。そのため、余ってしまったら冷蔵庫ではな く、冷凍してしまうのがオススメです。 解凍は500Wの電子レンジで1分30秒程度。レンジには加熱ムラがあるので、そのまま秒ほど余熱で蒸らすのがポイントです。自然解凍するとパサパサになるので、注意しましょう。 この方法はマヨネーズ系など加熱に弱い具材は不向きで、鮭や昆布、おかかなどの具や混ぜご飯系が向いています。ちなみに手巻きタイプのおにぎりをレンジにかけても海苔はしけないの大丈夫です。

『ku:nel』20217月号掲載

エッセイ 樋口直哉 / 写真 瀬尾直希 / 編集 原 千香子

●そのほか樋口さんの記事
【樋口直哉さんのキッチンツール/前編】値段ではなく、いいものかどうかで選ぶ。
【樋口直哉さんのキッチンツール/後編】使う気持ちも大切に、樋口さん流「ちょうどいい」道具達。

キーワード