美しいガラス作品にうっとり。東京都庭園美術館で開催中の「ルネ・ラリック リミックス」展。9/5まで。

アール・デコ様式の美しい建築で知られる東京都庭園美術館で開催中の、「ルネ・ラリック リミックス」展。フランス・パリを中心に活躍したルネ・ラリックの、活躍の軌跡を追った展示の様子をレポートします。

本展は、19世紀末から20世紀半ばにかけ、ジュエリー作家・ガラス工芸家として幅広く活躍したルネ・ラリックが、どのようなインスピレーションを受けて作品を作ったのか、よくわかる展示になっています。

会場の東京都庭園美術館の本館は、1933年に朝香宮夫妻の自邸として建てられ、1983年に美術館として開館した国の重要文化財。内装の一部には、今回展示されているラリックがデザインを担当したところもあり、作品と合わせてこの美しい建築と内装も必見です。

1933年に作られた本館正面玄関の扉。ガラス・レリーフ・パネルは、デザイン画の展示も。

最初に観られるテーマは「ルネ・ラリックと朝香宮邸」。本館正面玄関の扉ガラスのレリーフ・パネルもラリックによるもの。実は入館する前から、展示は始まっています。

扉ガラスは、館内から観ることもできる。

大客室の天井のシャンデリアは、ルネ・ラリック作の「ブカレスト」。

大食堂の天井照明「パイナップルとザクロ」も、ラリックによるもの。

東京都庭園美術館 本館の香水塔

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続いては、ジュエリー作家としての作品の数々。ペンダントや指輪、ネックレスなど。ガラスの透明感とレリーフの美しさに、思わずため息がもれます。

バタフライ・ブローチ《シルフィード》 1900年頃、個人蔵、協力:アルビオン アート・ジュエリー・インスティテュート

ブレスレット《ヴェロニカ》1900年頃、個人蔵、協力:アルビオン アート・ジュエリー・インスティテュート

ペンダント《冬景色》1898年頃、個人蔵、協力:アルビオン アート・ジュエリー・インスティテュート

ネックレス《葉飾り》1910年頃、個人蔵、協力:アルビオン アート・ジュエリー・インスティテュート

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自然のほか、古代ギリシャやエジプトなどの古典、パレエ、アフリカのアート、そして女性からもインスピレーションを受けたというラリック。ジュエリーや香水瓶のデザインをはじめ、社会進出するモダンな女性たちのために、アッシュトレイやシガレットケースも手がけ、多くの女性がラリックの作品を手にとるようになったそう。

常夜灯《ツバメ》、ほや《つむじ風》1919年、ギャルリー オルフェ

シール・ペルデュ花瓶《ユーカリ》1923年、北澤美術館蔵、撮影:清水哲郎

香水瓶《真夜中》1924年、北澤美術館蔵

アフリカの民芸品から影響を受けた作品も。

シガレットケース《ねこ》1932年、北澤美術館蔵

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展示は本館から新館に続き、がらりと違う雰囲気に。展示スペースに入る前に、裏側から作品を観ることで、作品が放つ光や造形の美しさを改めて実感することができます。

新館の展示デザインを担当したのは、建築家の中山英之さん。

こちらではガラス作家に転向したラリックが、どのように芸術と装飾、生活の関係を見出そうとしたのかを探る展示内容になっています。香水瓶や写真立てのようなより生活に近いプロダクトから、建築とガラスのコラボレーション作品まで、幅広く手がけたラリック。展示方法やタイポグラフィーも素敵です。

アール・デコ博覧会のためにデザインされた、噴水《フランスの源泉》をモチーフにした照明パネル。

写真立て・鏡《セキレイ》

住居の内装のガラス装飾や、照明器具、豪華客船や急行列車の内装も手がけた。

最初に展示を裏側から観ることができ、展示を観た後にもう1周したくなる構成に。

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華やかな装飾品だけでなくシンプルなプロダクトまで、じっくり時間をかけて観たい見応えのある展示です。9月5日まで予約制。ぜひお見逃しなく。

取材・文/赤木真弓

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