【フランス流生き方3・後編】50歳でブランド立ち上げ。新たなステージで充実した日々を

アン・グラン・クレモンさん

仕事の円熟期へと入る50代。リタイア後の自分の姿もうっすら見えてくるころ、このままずっと同じことを続けていっていいのかな?と考える人も多いのではないでしょうか?バッグデザイナーのアン・グラン・クレモンさんは、新たな挑戦をすることに決めました。

大手ブランドでデザイナーとして活躍していたアンさん。 ブランドが自分の予想を超えてどんどん大きくなることに不安を覚え、いったんリセットすることに。そして、50歳で行ったインドで大きな刺激を受け、手作業で丁寧なものづくりから生まれる小物のブランドを立ち上げました。

アンさんは現在 54 歳。年齢とともに経験値が上がり、自分の好きなものと嫌いなものがしっかりとわかるようになったことが財産だと言います。「自分が成長すると同時に、興味があるル・コルビュジエ、リチャード・アヴェドンなど、いろいろなアーティストや写真家を調べていくうちに、自分のスタイルが見えてきたように思います。ピュアで本質的、長い間愛され続け、いつの時代にも色褪せないという価値こそが、私が目指すものなんです」
新たなステージで明確になったコンセプトがぶれることはなく、今はマイペースで仕事を続けています。

ベッドルームのチェストの上はアンティークミラーでドレッサー風に。

「今はひと月おきにインドに行き、現地に1カ月ぐらい滞在して、職人さんのアトリエで指示を出し、新しいデザインの打ち合わせをします。デリー、ムンバイ、ジャイプールなども回り、新しいアトリエを開拓したり、サンプルを作ってもらうことも。依頼するのはハンドメイドの刺繍など、手仕事ばかりなのでとても時間がかかるんです。しかも西洋人との仕事になれていないインドの方々との作業なので、現地に行き、細かくチェックしたり、指示を出さないとダメなんです」

ボタンや糸など細かいものは、散らかりやすいのでガラス瓶にいれて収納。

26歳でドキュメンタリー映画の監督をしている娘は独立し、現在はパートナーを持たないシングルライフ。
「私の人生にはふたつの大きな恋愛がありました。そのひとつで娘が生まれました。今は仕事でいろいろな人に会うけれど、正直ピンとくる出会いがありません。友だちの中には『もう恋愛はいいわ』という人もいるけれど、自分はとても重要だと思っているし、パートナーがいれば……と真剣に思っています」
愛する人と、何かを分かち合うことはとても大切と語るアンさん。自宅にシングルの人たちを集めてパーティーなどを開いてもいいのでは?と企画中。
今は一日の大半を仕事に費やす生活です。インドとの時差の関係で、午前中はインドからの連絡に始まり、その後はニューヨークに連絡。その合間にはデザイン画を描いたり、生地の色見本を見たりと、最低でも毎日8時間は仕事をしている生活です。

「長く使えるもの、持てるものを作るのは、実はとてもむずかしいこと。でも私は永遠に変わらないベーシックが好き。今のブランドでもっともっと新しいクリエーションを展開し、シンプルで美しいものを作り続けていければと思っています」

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