部屋やごはん、お気に入りの道具たちを本人撮影の写真で見せていただき、バトンを繋いでいくリレー連載。前回の浮須恵さんのバトンを受けてご登場いただくのは、文筆家の甲斐みのりさんです。
甲斐さん・暮らしのルール
1)好きなものに囲まれて暮らす
2)おやつの時間を大切に
3)ときめく気持ちを忘れない
旅、散歩、お菓子、パン、建築、郷土玩具、本など、幅広いジャンルで執筆されている甲斐さん。その暮らしは、長く好きでい続けているというたくさんのものに溢れています。
「“好き”という気持ちは一目惚れに似ていて、時間をかけて好きになったり、深い理由が伴うこともありますが、たいていは出合ったそのとき、“素敵だな”と直感で感じて高揚します。今は「推し活」などと表現されますが、好きなものがあって夢中になると”生きていてよかった”と思えるし、少し気持ちが沈むことがあっても、たくさんの好きなものが手を差しのべて救い出してくれます。いつも助けられているので、恩返しのように応援を続けていますが、夢中になれるものがたくさんあることで暇と感じたことがなく、日々充実感を得られています」
子どもの頃から、かわいいと思えるものにときめきを抱いてきたという甲斐さんは、その気持ちを忘れないよう心がけているそう。
「”かわいい”を見つけたり、所有したり、お守りのように持ち歩くと、少しだけ自分に自信を持つことができます。落ち込んだり考えごとをしてしまいがちなのですが、かわいいものを愛でてときめきに満たされることで、マイナスな感情が消えていく気がします。自分の価値観が定まってきたからか、40代になってから人と自分を比べたり、羨ましいと思うことがなくなり、自分のペースで生活や人付き合いができるようになってきました。これからは今までよりもさらに、その土地土地のいいところを探す活動をしていきたいですね」
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甲斐みのり/かいみのり
文筆家。旅、散歩、お菓子、手みやげ、クラシックホテルや建築など主な題材に、書籍や雑誌に執筆。Casa BRUTUS webなど連載多数。自治体の観光案内冊子の監修も手がける。著書は『歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ』(エクスナレッジ)、『にっぽん全国おみやげおやつ』(白泉社)、『乙女の東京案内』(左右社)、『たべるたのしみ』『くらすたのしみ』(ともにミルブックス)など多数。http://www.loule.net
甲斐さんがバトンを渡すのは、織物作家の上杉浩子さん。「年上の友人、上杉さんは、生き方、暮らし、ファッション含めて、私の憧れ。定期的にお茶を楽しんだり、よく一緒に旅もしています。他愛ないことも大切なことも、なんでも話せる頼もしい存在。上杉さんの手から生まれる、ホームスパンの織物も、愛犬との生活もとても素敵です」と甲斐さん。上杉さんの暮らしは、12月上旬に公開予定です。どうぞお楽しみに。