【住まいの履歴】古いもの、小さなもの、手仕事のもの、お気に入りだけを集めた唯一無二の空間。

田中靖子

ヴィンテージマンションの一角に店舗兼自宅を構えている田中靖子さん。 住まいも暮らしも「こだわりを持ちすぎない」ことが自分らしさです。

窓辺に置かれた古い開き戸の収納
窓辺に置かれた古い開き戸の収納。何気なく置かれた照明やガラス類も雰囲気がある

東京・吉祥寺でアンティークショップを営む田中靖子さん。お店 を始めたのは1986年のこと。吉祥寺から始めて青山に移転、そしてまた、現在の吉祥寺に移ったのは3年ほど前のことだそう。

「老朽化したビルの建て替えに伴って場所を変えざるを得なくなってしまって。その当時、自宅は杉並のマンションで庭付きの1階だったのが気に入っていたんですが、歳を重ねたこと、パートナーが体調を崩したこともあって店舗も自宅もコンパクトにと自宅兼店舗という形にたどり着きました。

吉祥寺は幼少期に暮らしていたこともあり、お店を始めたのも吉祥寺だったのでなじみ深いんですね。結局また、この場所に戻ってきてしまいました」

試着スペースや手芸コーナー
小さな部屋を組み合わせたような間取りを上手に活用している。写真中央のテーブルがダイニングスペース。奥には試着スペースや手芸コーナーがある。

床や壁も変え、棚を作ったり扉をつけたりと手を入れました。プライベー トのスペースは奧の二間だけ。キッチンやダイニングは店舗とプライベートスペースを兼ねています。

「誰かの家に遊びに行くように気軽に来ていただけたらうれしいですね。本棚には私の好きな本を並べているんですが、一人がけのソファで読書されるお客さんもいるんですよ」

一人がけのソファ
リビングダイニング的なスペ ース。楕円のテーブルはミシ ン台に大理石を合わせたもの。

どこを切り取っても独自のセンスにあふれていて実に絵になります。お店 を始める前は料理の仕事をしていたという田中靖子さん。パリのレストランで働いていたこともあるそうで、なるほど、お店の内装はどこかパリのアパルトマンを思わせるような雰囲気です。

「フランスではキッチン付きの屋根裏部屋を借りていたこともありました。 狭かったけれど趣があって楽しい暮らしでしたね。お店に並べているものはフランスを意識しているわけではないんです。

古いもの、小さなもの
古いもの、小さなものに目がないという田中靖子さん。ガラスも多く、あちこちに点在する。

古いものや小さなもの、手仕事のものが好きで、気づいたらそれらが集まってきて。どこそこのものとか〇〇風ということに囚われないようにしたいと思っています。

それはお店のことだけでなく暮らしや生き方も然り。何にも縛られることなく自由にありのままできればいいですね」

写真/近藤沙菜 取材・文/結城歩 再編集/久保田千晴

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