約1年前、海にほど近い場所に暮らし替えをした写真家の砂原文さん。 光が差し込み、風が通り抜ける。新しい家は実に気持ちのいい空間です。
砂原文/すなはらあや
フォトグラファー
女性誌やライフスタイル誌、書籍などを中心に暮らしまわりのあれこれやお菓子、人物などを撮影する。2017年にハワイ・モロカイ島の写真集『pili』を発表。Instagram:@trans_parence721
光を上手に操り、独自の感性で被写体を切り取るフォトグラファーの砂原文さん。ライフワークは海や島の写真を撮ること。以前はハワイのモロカイ島に何度も訪れて作品撮りをしていたと話します。そんな砂原さん、1年ほど前、25年暮らした東京から神奈川・葉山町に居を移しました。
きっかけは、やはり海なのでしょうか。
「漠然と海の近くで暮らしたいとは思っていましたね。友人がこのエリアにいたこともあり、子育てにもいい場所だと感じていたんです」
何年もかけてゆるやかに探していたなかで出会ったのが現在暮らす、築5年の中古物件。 東京の家は築50年と古い一軒家だったため、築浅物件は少し意外に感じます。
「古い家で暮しているイメージがあるようで、よくそう言われましたね。で も、私や夫、ともに暮らす猫2匹が歳を重ねてきたこともあり、あまりに古い家は避けたほうがいいかなと思ったんです。古い家は十分に堪能して気が済んだというのもあります。この家は壁が漆喰仕上げでふんだんに木材が使われているところに惹かれましたね」
これまでずっと賃貸暮らしだった砂原さん。千葉の実家を出たあとは笹塚で一人暮らし、結婚後は幡ヶ谷のマンションで夫とふたり暮らし。そこが手ぜまになり、杉並区の一軒家へ移りました。夫婦ともにフリーランスなこともあり、一か所に長く留まるというイメージがあまりなかったそう。
そのため、次の引越し先も賃貸で探していましたが、出合ったのは分譲タイプの一軒家。風と光が入る、心地のいい空間に、家族一同ひと目ぼれ。
「フリーランス夫婦ゆえ、ダメ元でローンの相談をしたところ、トントン拍子に審査が進んで購入できることに。 いろいろな人が来てもらえるような風通しのよい場所にしたい。人と物が調和しつつ、ワクワクするような家になったらいいですね」
そういって清々しく笑うその笑顔は、自由気ままに旅をするように軽やか。新しい暮らしは始まったばかりです。
『クウネル』2022年7月号掲載
写真/砂原文、取材・文/結城歩