【私のこれから】ひとつの器、一枚の布が暮らしを豊かに。 こんなお店がある街、幸せです

吉村 眸さんの私のこれから

生活にしっくりなじむモダンな陶芸や手仕事の道具を紹介して40年弱。 温かい笑顔と潔いセンスの吉村眸さんが新たな場所へ引っ越しをしました。

吉村 眸さんが微笑みながら立っている

原宿駅にほど近いビルの地下に、 吉村さんが器や生活道具の店「Zakka」をオープンしたのは、1984年春のこと。

吉村さんの目線で選ばれた陶芸家の焼き物や、竹細工、ルームシューズといった暮らしの道具は多くの人の心をとらえ、また美しいものを見る目を開いてもきました。開店のころは日本にもおしゃれな雑貨の店が続々と登場し、フレンチテイストのボウルやリネンに、女性たちはわくわくしたものでした。

「おしゃれな雑貨にも憧れましたが、 自分の生活を考えると、パスタも食べるけれど、ラーメンやうどんも食べますよね。そんな暮らしの中に和の陶芸の器が加わって、おいしそうに盛りつけられたら、ごはんの時間も楽しくなると思いました。同世代の若い陶芸家の作る器を紹介できるお店があったらいいのに、とも思いました」

棚に並ぶものはどれもシンプルで潔 く、静かなたたずまい。華やかな色や柄はないけれど、しっくりと手になじみ、食材を引き立ててくれます。店主である吉村さんその人と同じ穏やかさで、来訪者を迎えてくれるのです。

最初から数えて4軒めのいまのお店に移転したのは去年のこと。年齢のこともあり、より小さなスペースでゆっくりお店を続けたいという気持ちでした。生活の拠点は静岡県に移し、店の営業は1か月に1週間に限っています。

店を始めて40年弱。その間には、パートナーでお店の顔でもあった写真家の北出博基さんの急逝という悲しみも経験しました。仕事は大変なこともあり、いつまでできるだろうかと考える年ごろでもありますが、仲の良かった夫の不在を支えてくれたのも、いまも働き続けるエネルギーを与えてくれているのも「Zakka」だった、と吉村さんは振り返ります。

「コロナが流行しはじめてからも、お店を心配してくれるお客さまがいて、こういう方たちに支えられてやってこ れたんだなぁ、と改めて思いました。 街にこんな場所があって、あ、ちょっと寄ってみようかな、とお店を訪ねてくださって。それでひと時、いい時間を過ごしていただければ、私がやっていることの役目も少しはあるのかな、って思います」

『クウネル』2022年7月号掲載

写真/小出和弘、取材・文/舩山直子

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