【高山なおみさんの素敵な生活/後編】模様替えは、小さな引っ越しのよう。自分の好みがはっきりします

高山なおみさん

家には住む人の「暮らしの姿勢」があらわれてくるものです。 ひとり暮らしなら、なおさら。何を大切にし、何を育むのか?自分らしいピースを積み上げて、快適な住まいはつくられます。「心地よさ」も「好き」も全て自分次第。


模様替えは「小さな引っ越し」のよう

高山なおみさんのアトリエでの写真

今年の初めに部屋の模様替えをしたばかり。本棚を移動させて、窓のそばに余白をつくりました。

「ここに来てから手に入れた鉢植えが今はもう窮屈そうで。春になったら大きな鉢に植え替えて窓辺に置こうと思います。本も整理して、古本屋さんに渡して。新しいことが入ってくるように、棚に隙間をつくりたかったんです」

ここ何年か絵を描くのが楽しくなってきたので、小さなアトリエのようなスペースもつくりました。引っ越しする知り合いから譲り受けたチェストを置いて、描きためたものや画材をまとめ、いつでも気軽に描けるように。

手縫いや繕い物など、ひとり暮らしを始めてからものづくりの時間も増えました。部屋に敷くラグは20代の時に織ったもの。料理の仕事を始める前は、 染織の専門学校に通っていました。

「東京では敷く場所がなくてしまい込んでいたから色褪せないまま。料理はみんなが喜んでくれたから続けてきたのだけど、もともと糸が好きなんです」

台所と仕切りがない、 ワンルーム。仕事も食事もここで。東京から持ってきた中央の棚に絵本を集め、上の2段はゆとりをつくる。
高山さんの寝室には絵画が置いてあります
2階の寝室。絵本を一 緒につくる画家・中野真典さんの絵が印象的。床は白と黒のPタイル。ここにも本棚を置いて、夜はベッドで読書する。
高山さんがつくってきた本はこの棚にあります
高山さんがつくってきた本はこの棚に。「新しい本が入るようにゆとりをつくりました」。壁の大きな絵は中野真典さんが描いたもの。
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部屋の真ん中に敷くラグは、ナバホインディアンの織物がお手本。窓辺のラグは糸を植物で染めて織ったそう。

「ひとりになって、若い頃や子どもの時に好きだった世界が戻ってきている気がします。今の暮らしに合わせてみて、やっぱりいいなと思いますね。模様替えは、小さな引っ越しみたい。好きなものが、はっきりします」

引っ越した当初はまわりに親しい人はほとんどいなかったけれど、新しい 出会いも少しずつ。小泉亜由美さんはそのひとり。神戸の北野坂でローカルフードを扱う『FARMSTAND(ファームスタンド)』を運営します。

「イベントのトークショーに出ませんかと声をかけてもらったのが出会い。 あちこちの畑に連れて行ってくださっ て、野菜そのものがぐんと身近になりました。神戸に畑があることも知らなかったから。普段はスーパーで買い物をしていますが、生産者さんに会って、その人がつくったものを食べると、美味しくて。神戸の海で獲れるちりめんじゃこを使い切ったら、バスに乗って『FARMSTAND』へ買い出しに行きます」

仕切りのないワンルームにあるキッチン

料理の味付けも東京にいた頃から少しずつ変わり、素材を生かした薄味に。 自然なおいしさだから、野菜もたくさん食べられて、身体も快調です。

「ひとりの時間を楽しんでいるから、 人と会って話す時間も掛け替えがないものに思います。自分では思いもよらない言葉が返ってくることもあるから、 誰かと過ごす時間はすごく大事。こんなふうにありがたく思うようになったのは、ひとりになってからです」

ひとりになりたくて移り住んだ、六甲。だんだんと暮らしが整って、家にも心にも新しい風が吹き始めました。

『クウネル』2022年5月号掲載

写真/わたなべよしこ、文/宮下亜紀、編集/鈴木理恵

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