川邉サチコさんが着こなす黒は、思わずハッとしてしまう潔さやエレガントさを感じます。その由縁は、「黒」に対するセオリーにありました。
川邉サチコ/かわべさちこ
女子美術大学卒業後、 パリのメイクアップスクールで学び、サンローラン、シャネルなど名だたるメゾンの日本でのヘアメイクを担当。娘の美木ちがやさんと一緒に買い物に行き服をシェアするなど、ファッションを楽しむ。
川邉サチコさんと「黒」
学生時代、紺の制服を着ていたときから、黒への憧れがあったという川邉サチコさん。 「紺は学生の色、黒は大人の色と思っていたのね。制服に黒のコートを着て、気分だけは大人を楽しんでいました」
「社会人になり、黒はよく着るように。若い頃はエネルギッシュで肌もハリがあって、髪も艶やかだから黒が映える。でもね、クウネル世代になったらそうはいかない。体型も肌も髪もすべてがエイジングしているから、黒は老ける、寂しい、そんな印象を与える色になる。
だから、黒を着るときは緊張します。 ポイントで白をコーディネートに加える、服にしっかりアイロンをかける、メイクをきちんとする、髪にツヤを出す。気合いを入れて黒に挑んでいます!」
Style.01:透け感と上質な素材で、 ジーンズスタイルもカッコよくエレガントに
『MACPHEE』のジーンズには、 リボンデザインや透け感が特徴の『CHANEL』の黒ブラウスを。「エレガントなデザインの黒は女性らしさが増しますね」。
足元は『CELINE』のサンダル。「大人こそ、カジュアルなアイテムは上質なものを。体のラインもきれいに見えて、清潔感もアップします」
Style.02:陰の黒を陽に変える白を、 適量見せることで潔さを演出
スタンドカラーの『ASPESI』の白シャツは顔周りを明るく見せる嬉しい効用も。
「ハイウエストのデザ インに惹かれました。70年代のディオールみたいでお気に入り」 というスカートは『GABRIELA COLL GARMENTS』。ヒールではなく、『BOTTEGA VENETA』のミュールで抜け感を出すのが川邉サチコ流着こなしの妙。
Style.03:差し色で工夫を!ジャケットさえあれば大人のスタイルは決まる
それだけで決まるので重宝するという『SAINT LAURENT』のジャケットに『ZARA』のキュロットパンツを合わせて。「黒が基調だと寂しくなりがち。ロングブーツや小物で差し色など楽しい工夫が大切」。
『BOTTEGA VENETA』のウエストポーチとブーツは娘の美木ちがやさんと共有。
Style.04:ゆったり黒ワンピースで、 季節を問わず着まわしを楽しむ
愛用の『ISABEL MARANT』のコットンワンピース。「ゆったりした黒ワンピースは、春秋はストールを巻いて、夏は1枚で、冬は下にタートルやパンツを…など、季節毎に着こなせて便利」。
『BOTTEGA VENETA』のバッグと『repetto』の靴で、流行色の緑を利かせて。
「黒はスタンダードな無彩色だからこそ、着こなせるとおしゃれ!イタリア人の男性が黒のコートを颯爽と着ている姿って色っぽいと思わない?あんな風に黒を着こなしたいんです」(川邉サチコさん)
写真/玉井俊行 メイク/美木ちがや 取材・文/河田実紀 再編集/久保田千晴