ボリュームのなさ、ハリ・コシの低下、パサつき、うねりなど、年齢を重ねると増える髪の悩み。そこで、美しいプラチナヘアの持ち主であるヘアメイク界のレジェンド、川邊サチコさんにヘアケアの大事なポイントを伺いました。髪のことを知り尽くしたプロならではのアドバイスは必見です!
川邊サチコ/かわべさちこ
1938年生まれ。ビューティークリエイター。イッセイミヤケ、山本寛斎、イヴ・サンローラン、クリスチャン・ディオールなど、国内外のショーや広告、アーティストのヘアメイクを担当。現在は娘の美木ちがやさんとトータルビューティーサロン「KAWABE LAB」を主宰。おしゃれな着こなしや生き方にも注目が集まる。「あの人が着ると、 パーカーがなぜ おしゃれに見えるのか」(主婦と生活社)など著書多数。
ブラッシングとトリートメントは基本中の基本です!
いつもおしゃれで素敵なまとめ髪が印象的な川邊サチコさん。ふんわりとしたボリュームがあり、毛先までツヤに満ちたプラチナヘアはまさにクウネル世代の憧れ!
3~4ヶ月に1度、カラーリングで髪色を整えているそうですが、ダメージを感じさせないのは、「基本のケアをきちんと行っているから」と川邊さん。
実はシャンプーやトリートメントなども間違った方法でお手入れをしている人は意外と多いといいます。そこで、シャンプーから髪の乾かし方まで、基本のヘアケアのポイントを教えていただきました!
<シャンプー>
POINT1
予洗いをきちんとする
「シャンプー前にまず頭皮と髪をお湯でよくすすぎ、汚れをざっと洗い流します。頭皮と髪にしっかり水分が含まれていれば、シャンプーの泡立ちがよくなり、汚れも落ちやすくなります」
POINT2
シャンプーは泡立ててからのせる
「シャンプー剤をそのまま地肌や髪につけて泡立てるのはNG。摩擦や洗い残しの原因になるので、手のひらでシャンプー剤をしっかり泡立ててから、のせるようにしましょう」
POINT3
頭皮をしっかり洗い、すすぎを丁寧に!
「髪の毛をゴシゴシ揉んで洗う人がいますが、シャンプーは頭皮を清潔にすることが一番の目的。髪の毛は泡で包むだけで汚れは十分に落ちるので、頭皮をしっかり洗うことを意識しましょう。そして、シャンプー剤はよく洗い流すことが大事。洗い残しがあると細菌が増えてニオイの原因にもなるので、シャンプーする以上にすすぎに時間をかけて」
<トリートメント>
POINT1
リンスよりも、トリートメントが効果的
リンスやトリートメントの違いをよく知らないまま使っている人も多いですが、リンスやコンディショナーは髪の表面をなめらかに整えるもの。トリートメントは髪の内部に成分を浸透させ、ダメージの補修や質感をコントロールする役割をもっています。
「年齢を重ねると髪も乾燥しがちですし、カラーリングもしているので、私はシャンプー後はリンスではなく、トリートメントでケアしています。
地肌にトリートメントをつけてしまうと髪がぺたんとして見え、頭皮がベタつく原因にもなるので、毛先にすり込むように塗布するのがポイント。油分が少し残る程度に軽くすすぐとうるおいをキープできます。肌と同じように髪も季節によって変化するので、その時々の頭皮や髪の状態に合わせたケアを」
POINT2
月1回はスペシャルケアを投入
さらに川邊さんは月1回、おうちでヘアパックをプラスしているそう。
「トリートメント剤を根元から髪全体につけ、ラップを巻いて1時間くらいパックをしています。少し面倒かもしれませんが、トリートメント剤はできるだけ時間を長くおいて成分を浸透させたほうが効果的。パックしている間にお掃除したりして時間を有効活用しながらケアしています」
<ドライヤー>
POINT1
熱を与えることでツヤがアップ!
ドライヤーをかけると髪が傷むと思っている人も多いようですが、実は自然乾燥や生乾きが髪にとっては最もよくないといいます。
「キューティクルが開いた状態だと、まとまりも悪く、ツヤのない髪に。頭皮を濡れたままにしておくと薄毛の原因にもつながるので、頭皮をきちんと乾かすことも大事です。髪の表面だけでなく、髪全体にデンマンブラシを入れてしっかりブロー。ブラシでテンションをかけることでキューティクルがなめらかに整い、さらっとしたツヤのある髪に仕上がります」
朝晩2回のブラッシングがルーティン
さらに、川邊さんの美しい髪の秘密はブラッシングにあり!
「毎日、朝と夜に1回ずつ、良質な動物性のブラシで丁寧にブラッシング。頭皮をマッサージすることで健康でツヤのある髪に。
肌あたりのやわらかいブラシで、髪の根元からしっかりとかすのがコツ。生え際から頭頂部、サイドから後頭部、襟足からフロントへ、何度か繰り返します。傷みやすい毛先はやさしく行って」
おしゃれなまとめ髪の作り方
まとめ髪を作るときは、スタイリングウォーターを毛先につけてカーラーで巻き、仕上げにヘアスプレーでツヤをアップ。手ぐしで髪をまとめ、バレッタで留めて完成。
「まとめ髪をきれいに仕上げるには、ベースをきちんと作っておくことが必須。また、髪は顔の額縁でもあり、ボリュームがあるほど華やかで元気に見えるので、タイトになりすぎないようにふわっとまとめるのがコツです」
川邊さんの美髪は、きちんとケアしているからこその賜物!
「年齢を重ねると、手をかけている人とそうでない人の差が大きく出るので、手抜きはタブー! 肌と同じようにいたわってあげることが、髪の健康を保つ近道だと思います。私自身、白髪が増えたり、髪が細くなったりはしていますが、毛量やツヤがキープできているのは日頃のケアのおかげだと思っています」
写真/玉井俊行、取材・文/矢沢美香