高知の山のてっぺんに住む布作家の早川ユミさんは、コロナの前は、タイやベトナム、バルセロナなどのアジアやヨーロッパの国々を家族と毎年旅し、さまざまな文化に触れていたのだとか。
趣のある、自然素材の調理道具が並ぶ早川ユミさんの台所。その秘密や「旅ごはん」のレシピが掲載された『畑ごはんーちいさな種とつながる台所ー』(文化出版局)が人気です。
里山で暮らすうちに自然と、サステナブルな暮らしを何十年と続けてきました。シリーズの3回目はそんな台所道具のことを教えていただきました。
コロナ前の旅で生まれた料理。
台所道具も旅先で集めて
タイやベトナムなどのアジアの国々を家族と毎年旅して、再現してきたレシピは、「カオマンガイ」、「生春巻き」、「ガパオライス」、「パッタイ」、「ビリヤニ」など。
早川さんがいつでも食事の時にクロスに使っているのは、アジアの腰巻き布〈パッカマー 〉 。「大きいので、床に敷くだけで食卓に早変わりします」
灰がクレンザーがわり、
スクレーパーとハギレで拭うのがルーティーン
「薪ストーブやお風呂の灰が台所のせっけんやクレンザーのかわりになります。排水が田んぼへ流れ灰がお米の栄養に」
「これが灰の循環です。水を汚さないため、カレーなどもスクレーパーでとって布のかけらでふきます。野菜のへたやごはんのくずなどは、にわとりへ。こんどは鶏のうんちが土に還ります」
決め手は「土に還る素材」
長年選んで集まってきた道具たち
「道具もまた土に還るものが、手にしっくりきます。木のへらやへちまのタワシ、クバのうちわ。土ものの器やもんぺなどつかいやすいものも、やがて、土に還る素材が安心です」
「土ものの器を洗いあげたあとは、竹かごにいれて太陽に干します。土と水と太陽が、すべての生きものにひつようです。くるくる土と水の循環が、わたしの畑と台所のくらしをつくります」
yumi’s voice
ぞうきんや鍋つかみ、もんぺは布作家でもある早川さんの手づくり。器は夫の小野哲平さん、木のさじは小野セツローさん作です。手仕事や料理や畑でもなんでも、つくることが身近にあると、暮らしの中にある循環に気付きやすいのかもしれません。
詳しく知りたい方は、『畑ごはん ちいさな種とつながる台所』(文化出版局)をご覧ください。シリーズの4回目は「暑い夏に食べたいビリヤニとヤムウンセン」をご紹介します。
早川ユミ/はやかわゆみ
アジアなどの布で手縫いの衣服をつくり、全国各地で展覧会をひらいている。夫の陶芸家の小野哲平の薪の窯たきを手伝ったり、種まき、木を植える。
『畑ごはんーちいさな種とつながる台所ー』(文化出版局)、『くらしがしごと土着のフォークロア(天然生活の本)』(扶桑社)など著書多数。
Instagram:@yumi_hayakawa24
youtube:種まきびとチャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCBWw-ZHX55asQr9wQOprkiA
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『畑ごはんーちいさな種とつながる台所ー』(文化出版局)
※本記事は『畑ごはん ちいさな種とつながる台所』(文化出版局刊)からの抜粋です
写真/新居明子 構成/鈴木理恵