アンティークの家具や、多国籍の民芸品がセンス良く飾られた宇佐見紀子さんのお家は、昭和のヴィンテージマンション。たくさんのものに囲まれつつもごちゃついて見えないのは、フランスで研ぎ澄まされた目利きの良さにありました。
宇佐見紀子/うさみのりこ
ベイクルーズグループのパリ支局にてバイイング他を手掛けた後帰国。今季『紀_siècle』(Instagram:@ki_siecle_)を立ち上げ物づくりをスタート。フランス人の夫ロロさんは皮革ブランド『AC CALMIE』の作家。
宇佐見紀子さんは30年近くパリで暮らしていた人。やはりどこか日本的な部屋作りと離れた感覚が漂うよう。
「外国人ワク?かもしれないですね。フランスで培った感覚は強く持っているとは思います。ただ昔から、美しく古びていくものが好き。つい欲しくなってしまうんです。手に入れれば、できるだけしまわずに傍に置いて眺めていたい、単純な気持ち」
部屋にあった古いもの一式をコンテナに詰め東京へ戻ったのが5年前。「以前の家を知っている人は、パリにいるみたい、変わらないって言います」
「雑貨や洋服のバイヤーをしていたので、欧州、アメリカの色々なフェアや骨董マーケットにも足を運びましたし、帰国した頃は京都出張が多く、早起きして骨董市にも通いました」
フランスのニット工場で活躍していたボックスや、スペインの水車のバケツ、口縁をわざと欠いた室町時代の壺……ストーリーを聞くだけで楽しい!
「家の中をうろうろして、あれこれ物を入れ替えてみるんです。ものの数は限界なので自らを戒めつつです」と笑う宇佐見紀子さん。
好きを極めることで保つ秩序の中、さまざまな美が時を重ね生きています。
写真/加藤新作 取材・文/原 千香子 編集/原 千香子、河田実紀 再編集/久保田千晴
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