昨年までパリから、リアルなフランスレポートを送ってくれていたクウネル・サロンメンバー松永加奈さんが、6年に及ぶパリ暮らしを終え、日本に帰ってきて数カ月……。そんな松永さんのお引越しにまつわるレポートです。
新しい年が始まりました。気分一新、心機一転!ではありますが、12月の半ばにパリからの船便が到着したうちの中には大量の荷物が散乱。慌ただしい時期で「せめてそれなりの形(どんな形?)には整理せねば」と思いつつ、あっという間に2021年はタイムリミット。荷物を積み上げた部屋の扉をそっと閉め、年を越したのでした。
現在住んでいるのは、帰国から2週間の隔離生活を経て、実際に内見してから決めた部屋です。遠隔からでも対応でき、コロナ禍で好評という「リモート内見」も勧められましたが初めて暮らす街なら環境も気になるところ。いやいや、シャワーの水圧だって収納の広さだって日当たりだって大事。「やっぱり〝お部屋探し〟は現地へ行ってこそ」と隔離中に準備だけ進めていたら、希望の物件は次々となくなってしまいました…。
「家探し」はつくづく「ご縁」です
東京の物件は文字通り大争奪戦で、内見へ行く途中に連絡が入り「次のお部屋、契約決まっちゃいました」と言われたことも。昨今、郊外で新しいライフスタイルを始める人が増えているとはいえ、都心の賃貸の需要は変わらず多いのだそうで、「どれにしようかなー」などと呑気にしている暇はありませんでした。
思い返せば昨年の2月にも家探しをした我が家。パリでは2回引越しをして、3軒のアパートに住みました。その前はソウルで2軒。フランスと韓国の家探しの方法は、不動産サイトや仲介業者の利用、友人からの紹介など、基本的に日本と変わりません。そして建物の状態や間取り、家賃などをチェックするわけですが、フランスでは水道代が賃料に含まれていることがほとんど。
頼みのセントラルヒーティングは管理人さんのさじ加減
また、セントラルヒーティングというアパート全体を暖める設備があれば、そちらも賃料に含まれます。部屋のあちこちに配置された配管の中を、オイルや温水が循環するというこのシステムがあれば、家じゅうぽかぽか。寒い季節に暖房代を気にせず快適に暮らすことができます。但し、このスイッチがいつ入るかは管理人さん次第。お金がかかるのでギリギリまで稼働させないようオーナーや管理会社から言われていたり、体感的に「まだ大丈夫」と判断されたりして、住人の希望のタイミングに暖かくならないことも。
以前住んでいた韓国・ソウル
一方、寒さが厳しい韓国では、「オンドル」という床暖房付きの部屋が一般的ですが、こちらは大抵、家賃とは別料金。物件によって暖まり方が違い(老朽化など)、電気系統のトラブルが多い韓国では、故障もしばしば。極寒の中、上下左右の部屋からの暖を頼りに、修理を待ったこともありました…。
希望物件を見つけたら次は内見、契約へと進むのは、日本も韓国もフランスも同じ段取り。といっても、ここにちょっとした違いがあります。リアルライフにお邪魔したり、家賃が実質タダになったり、新居の床に足跡がいっぱい付いていたり…ところ変われば家探しの驚きもいっぱいなのです。
(後編へつづく)