お正月に欠かせないお雑煮。地域や家庭によって、つゆ、お餅、具材とそれぞれです。料理家の柳瀬久美子さんが友人たちと「お雑煮の会」を開催していると聞き、お話を伺いました。聞けば聞くほど奥が深い、お雑煮の世界。あなたは、来年、どんなお雑煮を食べますか?
友人の和食料理家にお雑煮をごちそうになって
「もともと友人で和食が得意な料理家の荒木典子さんにお雑煮をごちそうになる機会があり、それがとてもおいしくて、ほかにも日本各地のお雑煮を作って食べてみようという話になったんです。メンバーは荒木さんの昔からのお友達がふたり、私と荒木さんの共通の知り合いをひとり、の計5人でやっています」
スタートしたのは2021年の2月。毎月、5人で集まって3種類のお雑煮を作って食べるのだそう。参考にしているのは、『年取りと正月の料理』( 農山漁村文化協会 )という料理書や雑誌のキリヌキ、インターネットの生記事など。
「真夏にもお雑煮を作って食べましたね(笑)。レシピはあるのですが、たとえば「とち餅」とあっても、とち餅が手に入らないからと、もち米を炊いてとちの実と混ぜてつくところからやったこともあって。大変なこともありますが、5人いればこそと楽しんでやっています」
ひとつひとつに意味があり奥深い「お雑煮」
「お雑煮を作る会を重ねていくうちに感じたのは、まだ貧しい時代、各地方でハレの日に食べるお雑煮のために知恵や工夫を凝らしていることなんです。白いお餅や砂糖はきっと高価なものだったと思いますが、それをふんだんに使っているのかずいぶん甘い味付けだったり、子孫繁栄を表す里芋やもやしを用いていたり。その土地ならではの色が濃く出るのが興味深いんです。また、お餅も、四角なのか丸なのか、焼くのかゆでるのか、はたまたあんこが入っているものも。東西南北、違いがたくさんあり、とても面白いと思いましたね」
いままで作ったお雑煮の中から、7品をご紹介。
来年は「お雑煮の会」のイベントも予定
「お雑煮の会をやって、写真をインスタグラムに投稿していますが、『地元です』『こういうものも入ってます』などコメントをいただくとうれしいですね。お雑煮って、日本の各土地土地によってがらりと違うものだけれど、またそれが家庭によって少しずつ変化していきますよね。例えば、西の出身の男性と東の出身の女性が結婚して折衷になったり(笑)。だから、そういった変化も含めて、みなさんのお雑煮も知りたいし、お雑煮の魅力をもっともっと広げていったら楽しいんじゃないかなと思っているんです」
ということで、来年は「お雑煮の会」のイベントを計画中なのだそう。
「お雑煮の会に参加したいというお声をいただいたりもするのですが、内輪で始めたので、なかなか人数を増やせないこともあって。まだ詳細は未定ですが、食べやすいサイズにしたお雑煮を何種類か食べていただきたいと思っています。お正月の気分が抜けないうちに、お雑煮の情報交換ができたらいいですね」
なんとも面白そうな「お雑煮の会」。気になる方は、ぜひお雑煮の会のインスタグラムをチェックしてみてください。
取材・文/結城 歩
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