フード編集者であり旅を愛するツレヅレハナコさん。旅に出る度、その国や土地の鍋や台所用品を買って持ち帰り、毎日の暮らしに楽しく取り込んでいます。「現地で食べたおいしい味を再現することが好き」という、ツレヅレハナコさんによるモロッコ料理クスクスのレシピとともに世界の鍋の楽しみ方を紹介していきます。
昨年、一人暮らしの一軒家を建て たツレヅレハナコさん。料理の本や記事を多く手がけるツレヅレさんが信頼のおける建築家と相談しながら、 大好きな台所の設計に力を注いだ新居です。その中でも目を引くのが右ページ写真の鍋専用の棚。旅好きなツレヅ レさんがさまざまな旅先で出合い、持ち帰った大切な道具です。
「韓国や香港、トルコやウズベキスタンなど大好きなアジア各地を中心に、20代のころから旅してきましたが、目的はその土地の料理を食べて、知ること。鍋とか台所用品とかを買って帰って、現地で食べたおいしい味を再現することが好きなのです」 以前住んでいた賃貸マンションでは棚や納戸に収納していたお気に入りの鍋。毎日眺めて暮らしたいと、新居の設計当初から、この棚は絶対作ると決めていました。世界各国からやってき て、ぴかぴかに磨きこまれた人なつこ い表情の鍋たち。新居のなかでも、一 番目につくところにあって、ツレヅレさんの愛の深さがうかがえます。
「鍋って、その土地の食文化を映すもの。その国だから生まれる鍋があるんです。場所は取るし、万能に使えると いうわけではないけれど、道具として楽しいし、こういう鍋が海外から我が家に来てくれたことがうれしくて」 とはいえ、これらは観賞用というわけではまったくなく、毎日の料理に存分に使われています。 「海外に行っても名所旧跡に一切関心 がない。その土地で人々が何を、どう食べているかを見たい。それが旅の目的なんです」というツレヅレさんが、 鍋とともに持ち帰ったレシピも紹介してくれました。
モロッコの クスクシエール
recipe
ラム肉のクスクス
粒状のパスタであるクスクスにソースをかけて食べるこの料理はモロッコの国民食。 野菜も多く摂れて、バランスのよい料理。
●材料(4 ~5人分 )
ラム薄切り肉…300g
<下味 >
クミン…小さじ2
チリペッパー…小さじ1
ターメリック …小さじ1/2
玉ねぎ…1/2個
ズッキーニ…1本
にんじん…1本
芽キャベツ…4個
ひよこ豆(水煮)…50g
じゃがいも(メークイン)…1個
トマトペースト…大さじ3
塩 …小さじ2
オリーブオイル…大さじ2
クスクス…1カップ
バター…10g
●作り方
1)ラム肉に下味をもみこむ。玉ねぎは粗みじん切り、ズッキーニとにんじんは 4cm長さに切ってから縦4つ割りにする。芽キャベツは半分に切り、じゃがいもは半分に切ってから縦4つ割りに して、水にさらす。
2)鍋の下段にオリーブオイルを熱し、玉ねぎを透明になるまで炒める。トマトペーストを加えて1分ほど炒め、ラム肉を加えて炒める。肉の色が変わったらズッキーニ、にんじん、芽キャベツを加えて炒め、ひよこ豆、水1リットル、塩を加えて20分ほど煮る。
3)にんじんに竹串がすっと通るようにな ったら、じゃがいもを加えてさらに10 分煮る。クスクスは熱湯1カップとバターを加えて混ぜ、クスクシエールの上段に入れて5分ほど蒸す。クスクスにソースをかけていただく。
photo of Sri Lanka
つれづれはなこ
お酒と料理を愛する料理編 集者。新居建築の物語は『女 ひとり、家を建てる』(河 出書房新社)に詳しい。美味ガイド本『ツレヅレハナコのお取り寄せ 酒のアテからご飯のおかずまで。絶対おいしい超私的セレクト113』も好評。
ku:nel 2021年5月号記載
写真 柳原久子 / 取材・文 船山直子 / 海外写真 ツレヅレハナコ
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