2014年より愛媛で暮らしはじめた、池田じゅんみさん。小さい頃から自然での暮らしに憧れながらも、ずっと都会で過ごしてきましたが、30代半ばで愛媛に移住を決意。今は、小さな自給自足をしながら、大好きな愛媛で楽しい日々を送っています。
移住を決めてから、今のライフスタイルに至るまでどのような出来事や葛藤、大変なことがあったのでしょうか。全4回にわたるショート連載で、池田さんの移住ストーリーをお届けします。第1回目は、移住準備編です。
池田じゅんみ
2014年に愛媛へ移住。今は、フリーランスで在宅デザインの仕事をしながら、小さな自給自足の暮らしを行っている。その素敵なライフスタイルをインスタグラムで発信中。夫は単身赴任中で、11歳の息子さんと2匹の愛猫(保護猫)と暮らす。
Instagram:@junmiikeda
生まれも育ちも大阪市内。電車に乗ればどこへでも行ける。遊びも刺激もたくさんある都心部で育った池田さん。だからこそ、小さい頃から自然いっぱいの暮らしに憧れていたそうです。
「大人になってからも『自休自足』という雑誌を愛読していて、田舎や自給自足の暮らしっていいなと思いながら過ごしていました。いつかはしてみたいと憧れていたものの、まだまだ先のことだと思っていました。夫が転勤族で、夫婦2人だったらどこに行ってもよかったけれど、子どもが産まれてから生活スタイルが変化。そのうちに夫から『転勤で息子を振り回してしまうのは避けたい、故郷と言える場所を息子に用意してあげたい』という考えを聞き、少しずつ移住を考えるようになりました」
◆海と山が近くに!両方を叶えてくれた愛媛。
素晴らしい風景に感動。
池田さんが移住を意識しはじめたのは、2012年くらいから。まずは移住地を探しはじめます。西日本という広い範囲で、“海と山があること”を絶対条件に、淡路島をはじめ、いくつか足を運んだそうです。
最終的に移住の地に選んだのは、愛媛県。実は愛媛は、夫の実家と夫の勤務する会社の本社があったので少しの馴染みはあったそうですが、愛媛に強くこだわっていたわけではなかったそうです。
「関西にいた時もキャンプやアウトドアが好きだったので、京都や和歌山、高知など、これまでさまざまな海に行きましたが、愛媛で感じた瀬戸内海の海は、穏やかでとても素敵で、ずっと眺めていたいと心から思いました。また、ここに暮らす人々も海と同じように穏やかな人が多いことや、温暖な気候にも惹かれました。夫の実家が松山市内の中心部にあり、そこに二世帯住宅を建てる話もあったのですが、わたしたち夫婦が求めている土地は、もっと自然いっぱいのところで。同じ想いの夫との土地探しはワクワクに満ちたものでした!」
◆理想の地を求めて、いざ土地探しスタート!
移住を意識しはじめてから1年。2013年に愛媛への移住を決めました。このとき、池田さん家族の住まいは兵庫県でした。遠方だったため、土地探しは基本的にインターネットで行っていたそうです。
「気になる土地をいくつかピックアップして、週末にまとめて愛媛まで見に行くというのを何回か行いました。1年弱の間で、兵庫と愛媛を何回も行き来していました。大変でしたけど、愛媛に行くのは好きだったので楽しんでやっていました」
1年弱に及ぶ土地探しあと、ようやくお気に入りの土地を見つけた池田さん。歩いてすぐに海にも山にもどちらにも行ける、絶好の環境です。初めて今住んでいる土地を見に行ったとき、目の前には小さな池の水辺があり、その向こうには瀬戸内海が広がり、遠くの島々までよく見えて、その景色に惹かれたそうです。
「2013年4月に土地が決まって、5月には住宅ローンを申し込みました。しかしその3ヶ月後に、なんと夫に広島転勤の辞令が!住宅ローンを組んだ途端に転勤になるというジンクスをここで実体験しました(笑)」
◆移住の最大の準備は、運転免許を取得したこと
新居が完成するまで、一家は一時的に兵庫から広島へ引っ越します。準備期間も短く、引越しはドタバタ。さらに、移住後には運転免許が必要だと、池田さんは初めて免許取得を決意します。しかし引越し後、息子の幼稚園の転園先がなかなか見つからないままでした。池田さんは託児所のある教習所に息子を預けながら、日々免許取得のために励みました。
「この時、35歳でした。絶対に運転免許が必要だと分かっていながらも、運転することが怖くて怖くて、心臓がドキドキバクバクでした。さらにその頃は、広島と愛媛を行き来しながら、自分たちでウッドデッキを作ったり、住宅設備機器や照明や家具など検討・購入と予算で頭が沸騰して、大変な日々でした…!」
と、当時の様子を振り返ります。2013年10月に着工開始した新居は、翌2014年3月に完成。そのタイミングで、池田さんは息子と2人で愛媛へと引っ越しました。
「元々、国内外問わず旅行が好きですし、愛媛でもきっと楽しく暮らしていけるだろうと思っていました。不安が全くないと言えば嘘になるけど、移住に対しては楽しみな気持ちの方が勝っていました。その楽しみ以上の最大の心配事は、やっぱり夫と離れてワンオペ育児がわたしに務まるのかということでした…」
いよいよ池田さんは顔見知りがいない新天地で、夢だった自然に囲まれた暮らしをスタートさせます。次回は、移住までの葛藤や移住後に大変だったことや、経済事情などリアルなお話をお届けします。(vol.2に続く)
取材・文/阿部里歩