「あの頃」というタイトルで始まったエッセイ連載。自身が撮り下ろした写真とエッセイで、小林麻美さんの「いま」をご紹介します。
←前編はこちらから
ターニングポイントがいくつかあったなーと
一年前、 25年ぶりにcamera の前に立ったとき
まるで 昨日の続きのカットを撮っているように
普通に動いている自分が 不思議だった
「やっぱり シャッターの音が好きなんだ」
と思っている自分を
もうひとりの私が
「ふうーん」て、俯瞰で見ていた
そして また
「何かが始まるんだ!」と
この一年、クウネルの連載のお仕事を通じて
25年間の空白をすごく感じたり
「あ、まったく変わっていない」と思ったり
さまざまなことを思い 感じて 楽しかった一年
だけど 試行錯誤の一年でもありました
そして 新しいstage に
これから何をやらせていただこうか
会いたい人
行きたい場所
好きな香り
懐かしい想い
あれも これも
わくわく ウキウキ 心躍ります
でも、やっぱり試行錯誤です
〝レットイットビー〟かな
座右の銘は
「人の一念岩をも通す!」と
「Tomorrow is another day」
――明日は明日の風が吹く
あの頃 そして今
明日からのわたし
どこに向かうのか
楽しみで 少しドキドキな…
朝 食事をしながら
テレビも音楽もなにもつけていないと
ふと
開けた窓から吹き抜ける
風の音が聴こえる
遠くの学校の練習の掛け声や
鳥の声も
お皿にあたる「カチャ」というスプーンの音さえ
何だか
とても新鮮で懐かしい気持ちになる
夜更けの
シーンとした静けさの音も好きだけど、
朝は何だか頑張れる気持ちになれるから
好き
空を見ていると
悩んでいることが 少しだけちっぽけに思える
若い頃は 全部ちっぽけに思えたけど
今は 諦めがほんの少し空の向こうに見えるからかな
こばやし・あさみ
高1から雑誌やCMのモデルを始め、高3終盤に「小林麻美」で歌手デビュー。憧れのファッションリーダーとして活躍の後、結婚を機に引退。昨年、25年ぶりに本誌に登場し話題に。以来、連載が大人気。
『ku:nel』2017年9月号掲載
文・写真 小林麻美
小林麻美さんの記事
【小林麻美さん連載】香水から始まる女としてのストーリー
【小林麻美さん連載】女ゴコロをつくる口紅について私が思うこと
【小林麻美さん連載】女性らしさを演出するおしゃれについて
【小林麻美さん連載】たくさんの街を経由して、いままた銀座が落ち着きます。