島田順子さんがコロナ禍に思うこと。小さな幸せに感謝して生きることの大切さ。

人生の折り返し地点で起きた予想外の出来事によって、突然訪れた休息時間に相反する気持ちを抱えたまま毎日を過ごしているという順子さん。そんな彼女が日々意識していることから生き方について、お話をお聞きしました。

島田順子さんのパリ郊外での暮らし。気の合う若き隣人たちと送る、賑やかな生活。 からの続きです。

パンデミックの影響でひとりの時間が長くなり、さまざまなことをじっくり考える機会も増えました。「私は基本的には怠け者。だから不謹慎かもしれないけれど、休んでも負い目を感じなくていいこの状況に、途方もない自由をもらって、それを思い切り享受しています。

頑張って仕事をしてきたし、多少のストレスも感じながら夢中で生きてきました。でも、そろそろゆっくりしたら?という、天から与えられた休息のような気がして。一方で、人生も終盤になってこんな予想もしないことが起こると、これからどうすれば?という戸惑いもあります」。

自分から動かないと幸せは来ないと信じてきた順子さんにとって、突然訪れたこの休息時間は、楽しいと同時に、 自由がこんなに簡単に手に入っていいのだろうか、苦しんでいる人もいるのに……という疑問や葛藤も頭から離れません。そういう相反する気持ちを抱えたまま過ごす毎日です。

「結局、大きな幸せで満たされてしまうと逆に怖くなるんです。だから、些細なことや瞬間瞬間の喜びを、少しずつ積み重ねるほうが安らぎを感じます。たとえば、物置が素敵に仕上がったとか、庭の花が咲いたとか。そういう暮らしの中の小さな幸せに、一つひとつ感謝しながら生きていたいです」

社会が騒がしいなかで、矛盾する自分を静かに見つめる。楽天家だけど葛藤も抱えて、ささやかな幸せが続くことを望む。順子さんのその人間的な生き方はやっぱり素敵です。

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『ku:nel』2020年3月号掲載
写真 松永学/コーディネート 鈴木ひろこ/取材・文 綿貫あかね

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