思い出が詰まった祖父の家を引き継いで。『PataPri』『Mon Souk』主宰・植村雅子さんのくつろげる部屋(前編)

ほっとする、リラックスできる、落ち着く。クウネル世代にとって部屋は、くつろげることが大切です。それは、家族の形態が変わりひとり暮らしをするようになっても、実家を引き継ぎリフォームすることになっても、都心から自然豊かな地に暮らし替えをしても、そしてパリのアパルトマンでも。自分のスタイルとさまざまなストーリーを持つ16組のくつろげる部屋をお届けします。今回は『PataPri』、『Mon Souk』主宰・植村雅子さんのお部屋です。

後編はこちら

間取り

家の広さは165平米。築年数は約70年。ベランダとその周囲には同様の広さの庭が。和洋折衷の間取りで和室もあり、その一部をシルクスクリーンの版など仕事道具の保管場所に。

季節を感じられる環境が、居心地のよさを増幅させて。

TVを観たり、食事をしたり、過ごす時間が多いリビングルーム。右側がアトリエに。石と木の素材をいかしたレトロモダンな内装。「設計者は不明ですが、祖父の好みを反映したのだと思います」

眼下には富士山を望む相模湾。海から急勾配の坂を登った高台に建つのは、レトロな趣のある洋風の一軒家です。祖父の家だったここに、植村雅子さんが住むことになったのは、約3年前。

24歳で渡仏し、長年パリに在住していた植村さんは、旅行で何度も訪れていたマラケシュでモロッコ人の夫と出会い、結婚を機にマラケシュで暮らしていました。そんなときに、姉の優子さんからの依頼で帰国。

「当初はモロッコに戻るつもりで、ここに7ヶ月滞在しました。フランスに移住して以来、それだけ長期で日本にいたのは初めてでしたが、ここって本当に自然がいっぱいでモロッコではあまり感じない四季が感じられたんです。春にはウグイスがさえずり、夏は蝉の鳴き声がすごいし、ああ日本だなって思いましたね」

バブーシュのスリッパでお出迎えする玄関。右側は一面、石積みの壁。この大きな石は遠方から運んで設置したという、祖父こだわりの装飾。

ギャラリーのような壁面の一角。上段に飾られたシルクスクリーンは、姉の優子さんがアメリカで買い集めたアーティストたちのもの。何色もの美しい版を重ねた精緻な作品。鏡はすべてモロッコ製のハンドメイド。ランプシェードの洋梨モチーフは〈PataPri〉のオリジナルデザイン。チェストは姉がシカゴ在住時から使っていたヴィンテージ家具。

ピーコックグリーンのメッセージが木製の壁のアクセントに。シルクスクリーンは優子さんの作品。右はモロッコの地図。

ここで過ごした幼い頃からの記憶が、植村さんのなかで懐かしく蘇っていきました。鳥や虫の鳴き声を除けば、「人通りもなく静かな場所だから、大音量でも誰にも迷惑かけない感じもいいんです」という植村さん。Netflixで刑事ものやアクション系の映画を観たりしながら、くつろぐのはリビングルーム。

「家で仕事しているから、アトリエと行ったり来たりしていますが、いちばん居心地のいい場所はこのソファ前です」

PROFILE

植村雅子/うえむら・まさこ

シルクスクリーンでハンドプリントしたグッズの製作・販売をする〈PataPri〉と、モロッコのハンドメイド雑貨を販売する「Mon Souk」を主宰。Instagram:@patapri5413@monsouk5413

『クウネル』2024年7月号掲載 写真/加藤新作、取材・文/黒澤弥生

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『クウネル』NO.127掲載

くつろげる部屋が好き!

  • 発売日 : 2024年5月20日
  • 価格 : 1000円 (税込)

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