週末は山と海。東京と葉山で二拠点生活をおくるフラワーデザイナーの振り幅を楽しむ暮らしとは?【後編】

日々をより輝かせるため、生活の場所を2カ所に持つ人が増加中です。東京・青山と神奈川・葉山で二拠点生活をおくるフラワーアーティスト・市村美佳子さんもその一人。店舗の花装飾、雑誌や広告などで幅広く活躍する市村さんの東京・青山のご自宅にお邪魔しました。

PROFILE

市村美佳子/いちむらみかこ

フラワーデザイナー。『緑の居場所デザイン』主宰。東京・南青山のアトリエで花教室を開催するほか、フラワーアーティストとして店舗の花装飾、雑誌や広告などで幅広く活躍。

好きなものに囲まれたアトリエ兼リビング

20年以上暮らしている青山のヴィンテージマンションが、市村さんの暮らしのベース。築50年ほどのマンションは賃貸ですが、自分好みにリノベーションできるタイミングで二間をつなげ、花教室のアトリエとしても使える広々とした空間に。壁を一面、明るい黄色に塗り替えました。

「東南向きで陽あたりがよく、気持ちよい風が抜ける部屋。賃貸だしこんなに長く住むつもりはなかったのですが居心地がいいんです。葉山の家も気に入っていますが、山の中なので湿気がすごい。帰ってくると、やっぱりこの部屋が好き、と改めて感じます」

明るいイエローの色壁が印象的なアトリエを兼ねたリビング。「気がついたら集まっていた」という大小様々な籠は、ワイヤーに吊るしてインテリアの一部に。

東南の大きな窓から光と風が抜ける、開放的で心地よい空間。借景の緑の向こうに高層ビル群が見渡せる、都心ならではの眺望もお気に入り。

花教室や展示で使う花器、仕事で使う籠やリボンなどはそのままディスプレイ。年代もテイストも様々な家具やアートが集まった部屋は、市村さん曰く「好きなものが集まったカオス」。

「素敵に暮らそうと思ったことはないけれど、気持ちよく暮らしたいと思っています。自分が気持ちよいものを集めた、この空間がお気に入り」

この先、年齢と共に仕事のペースが変わってきたら、念願の山の暮らしを始めるかもしれない。今は暮らし方を変える練習中だと言う市村さん。

「葉山と行き来することで、東京の暮らしがより楽しくなりました。先のことは分かりませんが、今の自分には、この二拠点生活が心地いいんです」

思い入れのある花器やアートを並べたアトリエの一角。左端の花器は、一緒に展示会を開催したこともある金継ぎ師・黒田雪子さんの作品。

作業台も兼ねた造作の収納棚には、花教室や花瓶専門店の開催に向けて集めた個性的な花器がぎっしり。細々としたものはバスケットに入れてすっきり収納。

江戸時代の東北の箪笥、北欧のチェストなど、国も年代も様々な古い家具、好きなアーティストの作品が一体となった、ギャラリーのようなコーナー。

前編も読む

『ku:nel』2023年9月号掲載 写真/玉井俊行、取材・文/吾妻枝里子

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『クウネル』No.122掲載

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