完璧は目指さない。パリの女性に学ぶフランス流の「素敵な部屋づくり」のコツとは?【後編】

古いものを大切に、完璧を目指さないのがフランス流。拾ったものや、不揃いでもOK。でも”好き”という気持ちにとことんこだわり、だからこそ個性的な部屋が生まれます。今回は、20年前に購入したパリ郊外モントルイユにある一軒家で暮らすアートディレクター・マリー=ノエル・ウードさんのお部屋訪問、後編です。

PROFILE

Marie = Noëlle HEUDE/マリー=ノエル・ウード

ヴェルサイユ生まれ。幼少期はノルマンディで過ごす。国立芸術学院でグラフィックデザインを専攻。出版社に就職し、1997年よりフリーランスのアートディレクター。

家を育てるように慈しむのがフランス人ならではの暮らし方

赤い照明をアクセントに、スカイブルーのグラデーションでペイントしたキッチン。S字フックを多用して、ツールをぶら下げたり、細かい道具を納めて機能的に。コンパクトながら使い勝手はよい。

家は私の人生そのものと語るマリー=ノエルさん。夫と大学生の娘と暮らす家は、20年前に購入したパリ郊外モントルイユにある一軒家。メトロで中心部までのアクセスがよく、広いスペースを求めるアーティストに人気のエリアです。

仕事以外の時間、マリー=ノエルさんが一番多くの時間を過ごすのがキッチンです。

「料理が好きなんです。料理をしていない時も、キッチンの横にある小さなテーブルに座り、ラジオを聴きながらお茶を飲む時間が幸せです」

コンロを正面に見て左サイドのスペースには、ブロカントで購入したキャビネット。グレーに塗り直し、古いカフェのロゴや量り、琺瑯のジャグを並べてレトロな雰囲気。

長年の課題である各部屋のペイントを予定。さらに大きな計画も。

コロナ禍のロックダウン中に、ガレージを自分のアトリエにリノベーションしたマリー=ノエルさん。ガレージのリノベーションの次は、長年の課題である各部屋のペイントを予定。さらに大きな計画も。

「キッチンの大改造です。床に敷いているのは、私が大好きな30年代の古いタイルなんですが、長年の使用で割れた部分があるんです。同じタイルを探したんですが、さすがに見つからず。仕方がないので、似たようなモチーフのタイルを使って、キッチンの床を全面修復しようと思って」

猫脚のバスタブがレトロなバスルーム。ラベリエ(ランドリー)の文字やタオルを収納した小さな棚はブロカントで見つけたもの。グリーンを飾って、入浴中もリラックス。

バスルームにつけたアンティークのミラーに、さりげなくメッセージやカードを飾るのがマリー=ノエルさんのセンス。フックにはアクセサリーをぶら下げ、オブジェのように。

無理はせず、仕事と折り合いをつけながらマイペースで家の手直しを続けるのがマリー=ノエルさんのライフワークといえそう。古いものをデコレーションしながら、新しきも取り入れ、直しながら大事に使う。家を育てるように慈しむのが、フランス人ならではの暮らし方なのです。

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赤い業務用キャビネットはハビタで購入。ミッドセンチュリーのスタンドライトや田舎のブロカントで見つけた子供用の椅子を置き、好きなアートをフレームに入れてコーナー作り。

“ジャルダン・イベール(冬の庭)”と家族で呼んでいる、玄関脇に続くガラスのスペース。育てている花々が季節ごとに美しく咲き、目を楽しませてくれる。

『ku:nel』2023年9月号掲載 写真/篠 あゆみ、コーディネート/鈴木ひろこ、文/今井 恵

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『クウネル』No.122掲載

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  • 発売日 : 2023年7月20日
  • 価格 : 980円 (税込)

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