【暮らしのヒントvol.2】すっきり片づけて、気分のいいクローゼットを

引田かおりさんがチェストからものを取り出している

毎日の暮らしや身のまわりのこと、機嫌よく整えられていますか? 体力や気力が若者のころとは違うと感じても、いまの自分に無理のないやり方で日々を気持ちよく。一日の終わりにフックにひっか けて乾かす。小さなストレスを 見逃さない気持ちが大事。クウネル世代の整え上手が実践している生活のルール、参考にしたいことがいっぱいです。

クローゼットの中に洋服が入っている
あえて扉をつけない収納。ウォークインクローゼットには扉をあえてつけず、持ち物が渡せるように。この右奥に季節外の服や生活道具を収納。

■ルール1■
人に手渡し、 循環させて、服を生かしきる

アクセサリー入れに指輪やネックレスが入っている
アクセサリー類はリビングのチェストにまとめて。「ひとつの引き出しにひとつのテーマ」という夫の整理術にかなった片づけ法だ。
引田かおりさんがチェストからものを取り出している
ベッドルームにあるチェストには下着や靴下を収納。どの引き出しもモノは詰め込まれておらず、ここでも身に着けるモノが循環している。
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「買い物が好きだし、服もモノも好き。以前は服を買うとき、これ は着回せるかしらとか、長く着られるだろうかと考えました。が、いまは気 に入ったものは買おうというマインドになりました」

おしゃれ上手で家事上手、いつもき れいに片づいた部屋が印象的な引田かおりさん。買ったお気に入りの衣類やバッグはどうやって片づけているのでしょう。

「モノが滞っているのが好きじゃない んです。体も同じですが、食べて出すという循環が大切でしょう。循環がスムーズだと軽くて気持ちもいい。洋服も同じことで、いくらお気に入りでも服がクローゼットにぎゅうぎゅうに押し込まれて死蔵されているのは、服もかわいそうだと思います」

だからクローゼットがごちゃごちゃしてきたら見直して、着る機会が少なくなったものは人の姉や経営するベーカリーのスタッフに、気に入ったらという条件で引き取ってもらいます。

「譲って着てもらったほうが服は生き返るし、そのことを大切にしたいと思っているのです」

■ルール2■
ホテルの ような、収納 スタイル

クローゼットに衣類が入っている
オンタイムの衣類はここに。クローゼットとは別に、ベッドルーム脇には今のシーズンに着るモノを収納

この写真はベッドルームにある、 オンタイムの衣類を収納するオープンなクローゼット。「モノが停滞しているのが嫌い」という言葉が納得できる、ゆとりある収納。モノの出し入れがしやすく、機能的です。

「ホテルに泊まるのが好きなんです。整然と片づいていて、清潔なのがいい。気持ちが休まるし、こんなふうに暮らせたらいいな、と感じます」

なるほど、落ち着いたホテルのたたずまい。夫も同じように整理整頓好きなのも助かっているそう。ちょっと散らかってきたな、そろそろあそこは片づけ時なのかも、と思うタイミングも似ている、そんなパートナーと家事をシェア。素敵な共同作業です。

■ルール3■
大人は こざっぱりがエチケット

白いTシャツと二足の靴下が置いてある
ぱりっときれいな白を楽しむ。白いものは白く、靴下もすっきりしていたい。だから、Tシャツや靴下は新品を常にストックして。

引田さんが服について考えるとき、 ぱりっと、こざっぱりした大でいたい、という思いがあります。

「最近は大人も白いコンバースを履いたりすることは当たり前ですが、履き古したスニーカーは似合わないと思うんです。年をとって中身がある程度くたびれてくるのは仕方がないんだから、着るものはぱりっとしていたい。白いスニーカーやTシャツは真っ白がいいし、アイロンが必要な服にはきちっとアイロンをかける。それが大人のエチケットではないでしょうか」

だから白いTシャツは毎年更新するし、人の家を訪問するときは真新しい靴下で。そんな心配りが引田さんのおしゃれのベースにあるのです。

■ルール4■
好きなモノ、好きな気持ちを大切に

たくさんのカゴが置いてある
かご愛は止まりません。クローゼットにしまってあるモノ以外にも、普段の買い 物や台所で活躍中のかごたち。職人が素材を探し、ひごを作ることから始まる繊細な手仕事の美に心動かされる。

ギャラリーを主宰し、たくさんの作品を見たり、人に会ったりするのが引田さんの仕事。だから家にいるときには、シンプルに少なめなモノと暮らしたいのです。好きな服も時が来たら、人に譲ったり、引き取ってもらったりすることが多いけれど、かごはちょっと別物のようです。

「ギャラリーで年に一度、かごの展覧会を8年続けました。その資料として必要ということもありますが、かごが大好きなんです。半分くらいは手放し ましたが、いまでも30くらいは持っているかな。各地各国の作り手さんたちが手をかけて、愛情をもって作ったものは美しく、いくら見ても飽きません。誰かに差し上げても喜ばれるし」

好きという気持ちを大切にしながら、モノを停滞させずに気持ちよく暮らす。そうしてできた心の余白が、人への思いやりにもつながるのでは、と引田さんは信じているようです。

『クウネル』2022年11月号掲載

写真/柳原久子、取材・文/船山直子

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