毎日の暮らしや身のまわりのこと、機嫌よく整えられていますか? 体力や気力が若者のころとは違うと感じても、いまの自分に無理のないやり方で日々を気持ちよく。一日の終わりにフックにひっか けて乾かす。小さなストレスを 見逃さない気持ちが大事。クウネル世代の整え上手が実践している生活のルール、参考にしたいことがいっぱいです。
一田憲子/いちだのりこ
編集者・ライター 58歳
暮らしまわりを中心に書籍や雑誌で執筆。『人生後半、上手にくだる』(小学館クリエイティブ)を刊行。 他に『大人の片づけ』(小社刊)、『暮らしを変える書く力』(KADOKAWA)など。
日常のルーティーンにして、自然体の整理・片づけを
■ルール1■
掃除とセットで 片づけて、体も気持ちも クリーンに
著書『大人の片づけ』で、自然体で、無理のない片づけの考え方を紹介した一田憲子さん。一田さんが実践しているのは、ながら片づけ。
「さあ、片づけるぞ、と思うと気が重くなりますよね。年を重ねて体力気力 が減ってきている時期だから、気軽な気持ちで家事をこなしたいんです」
朝早めに起床して、ウォーキングに出かける一田さん。家に戻ってシャワーを浴び、洗濯機のスイッチを入れた後、軽く居間のテーブルやキッチンのカウンターの上を拭き掃除します。
前日にテーブルに置きっぱなしになって いた本やDMを片づけながらの掃除。 そのついでに部屋の中も整頓できる。
「分くらいさーっと拭いて、片づけるだけなんですが、空気まできれいに なるような、すっきりした気分になります。そのあとにちょっと仕事、朝ごはんという流れです」
片づけや掃除の手順をルーティーン化することで、自然に体が動くようになって、考えることなく仕事が進むのです。それも体も頭もフレッシュな朝 のうちに。毎日の家事に対するハードルを下げることで、気楽に気分よく。 それが大切なんですね。
■ルール2■
引き出しひとつの整理から、 気楽に始めよう
整理整頓するぞ!と意気込むと、 それだけで疲れてしまうと感じる人も多いのでは。そんな大げさな決意をする必要はない、と一田さんは考えます。ともかく無理のない、生活に取り入れやすい片づけであることが大事。
たとえば、引き出しをひとつ整理 することから始めてみては、というのが一田さんの提案。ちょっとあいた時間に気になっている引き出しをひとつ開けて、中身を点検。死蔵されている不要なものを処分して、全体を見える化することで、ごちゃごちゃしていた引き出しがすっきり、使いやすくなるはず。今日ここが片づいたから、次はとなりの引き出しも整理してみるか、というモチベーションにもつながっていくのです。
■ルール3■
気になることがあったら、そのままにしない工夫を
モノがきれいに収まらない、どうも汚れがつきやすい、などなど、 家事は毎日のことだから、ちょっとしたことでも、たまるストレスは意外に大きくなります。
一田さんはそういう不便さを感じた ら、すぐに改善策を考えるのだそう。
たとえば、キッチンの食器の水切りラック。以前はステンレス製を使っていましたが、どうしても白い水あかが付着し、落としにくいのがいやでした。
いろいろ探して、見つけたのはシリコン製のたためるラック。水あかはつかず、使い終わったらさっと拭いて、フックにひっかけておけば、翌朝はすっ きりドライに。使いにくさをそのままに放置しないことで、家の仕事はよりラクなものになるのです。
■ルール4■
片づけは自分の性格に合った方法で
「おおざっぱな性格なので、片づけが得意なわけではないんです」と一田さん。
たとえばキッチンのスチ ールラック。調味料、お茶や乾物を収 めるパントリー代わりですが、最初は 引き出しにきっちり収納していました。 が、中が見えなくて、同じものを2個買ってしまったり。種類別にスチールのかごにざっと収納するようにしたら、 モノが見渡せて整理がしやすく。
「片づけって性格によるし、私にはこれくらいがちょうどいい。ごちゃごち ゃでも、その人がそれで心地いいならそれでいい。すっきり至上主義で、そ のために無理をしたり苦しくなったりするのは違うと思います。無理なくそ の人らしく、でいいんじゃないかな」
『クウネル』2022年11月号掲載
写真/柳原久子、取材・文/船山直子