パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISの主宰・荻野雅代さんと桜井道子さんおふたりが、毎月交替でフランスから日々の暮らしをご紹介。12月は桜井さんが「パリの台所」、マルシェの魅力についてレポートします。
12月のある日、バスティーユ広場近くに週2回立つバスティーユ市場を訪れました。パリには屋内、屋外合わせて80以上ものマルシェがありますが、それぞれに個性的。このバスティーユ市場は場所柄なのか、地元民で賑わう庶民的な雰囲気があるのと同時に、フォアグラやワイン、はちみつ、籐かごやレースのリネンなど、素敵なおみやげ選びにも使える、バランスのとれたマルシェなので気に入っています。
マイナス気温で頭がキーンと痛くなるほどとびきり寒い朝だったのですが、買い物かごやカートを持つ人が続々とやってきては、白い息を吐きながらお店の人とおしゃべりしながらお買い物をしていく姿を見ていると、やっぱりマルシェは春夏秋冬どんなときにもフランス人の生活に欠かすことのできない存在なのだなあと実感します。
私自身、以前はマルシェで買い物をするのが億劫で、近所のスーパーで済ませることが多かったのですが、実際に比べてみると新鮮さがまったく違うので、生鮮食品は断然マルシェ派になりました。
クリスマスや大晦日に限らず、家族や友人と集まる機会が増える12月は、フランス人のエンゲル係数がおそらく1年で最も高くなる時期。バスティーユ市場にも普段以上に高級なお肉や海の幸のバリエーションが増えていて、とても華やかでした。
マルシェに並ぶ野菜や果物の顔ぶれを見れば、そのときの旬がよくわかるのも嬉しいですね。真冬のマルシェの主役はやはり根菜。人参やごぼう、かぶなど日本でもおなじみのものから、パネ(パースニップ)、トピナンブール、ビーツなどフランスらしいものまで、まだ土をまとったままの根菜の姿を眺めるだけで、なんだかほっこりします。
根菜以外にもポロ葱や芽キャベツ、ほうれん草、アンディーブ(チコリ)など、冬の野菜はまだまだたくさん。寒くて暗い冬の日々も、食卓に野菜たっぷりのあったかい料理を並べて乗り切りたいと思います。
文/桜井道子