初めての料理、土地の人との交流、心動く景色……。旅でしか得られない体験はいくつも。「そろそろどこかへ 」。そんなあなたを刺激する「あの旅 」を写真とともにシェアしてくれました。
井川直子さん/いかわなおこ
文筆業
食と酒、人と時代をテーマに執筆活動。著書に『シェフたちのコロナ禍』(文藝春秋)、 『昭和の店に惹かれる理由』(ミシマ社)ほか
フィンランド/ヘルシンキ
ビール&コーヒーの先進国で個性を競うおいしさにときめく
見上げた空はいつもグレーで、トラムの電線が掛かって視界が抜け切らない。初めて訪れてすぐ、「アキ・カウリスマキ監督の世界!」と感じました。
2度目は2018年、腰を据えてビールとコーヒーを味わい尽くすことに。ビールとコーヒーってユニバーサルな飲み物で、原材料は輸入の場合も多いけれど、不思議とその国や土地、人の個性が浮き彫りになる。 そう思って常日頃から飲み歩いているんです。特にヘルシンキはコーヒーもビールも先進国。店ごとに異なる、さまざまなおいしさと出合い、ときめきました。人々も落ち着いていて穏やか。「ヘイヘイ(こんにちは)」と伏し目がちに挨拶してくれる、控えめな国民性も愛しくて肌に合う、大好きな街です。
TRAVEL DATA
おすすめのホテル:立地と値段、可愛さが魅力の「Hotel Fabian」
おすすめの料理、レストラン:森や畑の息遣いが感じられそうな、楚々とした皿を提供するイノベーティブレストラン。洒落た空間も魅力的な「Grön」
おすすめのアクティビティ:アルヴァ・アアルト建築の象徴「アカデミア書店」
『クウネル』2022年11月号掲載
取材・文/阿部里歩、田代 格、友永文博、船山直子、石毛幸子