毎年桜の季節が近づくと、全国の和菓子屋さんを彩る「桜餅」。塩漬けした薫り高い桜の葉っぱで餅菓子を包んで仕上げる桜餅ですが、じつはエリアによって違いがあることをご存知ですか?
関東風の桜餅は長命寺(ちょうめいじ)と呼ばれています。小麦粉などの生地を焼いた皮でくるっと餡を巻いた、クレープ状のお餅です。
今からおよそ約300年前『長命寺 桜もち 山本や』初代が、考案しました。名前は、向島の名跡・長命寺の門前で売りはじめたことに由来しているそうです。
日本を代表する和菓子の老舗『とらや』などでも、春限定で「桜餅 御膳餡入」をいただくことができます。
一方、道明寺(どうみょうじ)は、道明寺粉という、もち米を蒸して乾燥させ粗挽きした粉で皮を作り餡を包んだ、まんじゅう状のお餅です。
道明寺粉のつぶつぶした食感や、お米が持つ自然な甘みが特徴で、関西圏などではこちらが主流です。
いずれの桜餅にも共通するのが、桜の葉の塩漬けで包んでいることです。やわらかくて毛が少ない「大島桜」が使われていることが多く、その約9割が伊豆地方で生産されているといわれています。
桜の葉を一緒にいただくかは、意見が分かれるところですよね。
ちなみに、以前『長命寺 桜もち 山本や』のおかみさんに、お伺いしたところ「桜の葉は、お餅の乾燥を防ぐためにお出ししているだけなので、できれば外してお餅だけを召し上がってください」とおっしゃっていました。