一家の料理番・谷原章介さんが極める“シンプル家中華”を大公開!「麻婆すいとん」レシピ編

俳優、情報番組のMCとしてマルチに活躍する谷原章介さんのもうひとつの顔は、大家族の食卓を支える、料理上手なお父さん。この春初のレシピ本を出版した谷原さんに、近頃ブームの 「町中華」ならぬ「家中華」を披露してもらいました。

PROFILE

谷原章介/たにはらしょうすけ

1972年生まれ、神奈川県出身。俳優としてドラマ、映画、舞台などに出演するほか情報番組のMCなども務める。また2013年から出演を続けている「きょうの料理」をはじめ、料理番組にも多数出演。

無心で料理をすると心がスッと整います

谷原家は、育ち盛りの6人の子供、妻、父、義母の10人家族。晩ごはんは谷原さんの担当で、朝の情報番組を終えるとスーパーで食材を調達し、昼過ぎには仕込みを開始。夕方にはキッチンに立つのが日課です。

「子供の頃から料理が好きで、小学校2年生の頃でしょうか。弟におじやを作ってあげたらすごく喜んでくれたのを覚えています。そこから料理にハマっていきましたが、本格的に料理するようになったのは、外食に飽きてきた20代後半。ちょうどその頃、蜷川幸雄さんが演出する舞台に出演することになり、役柄のために痩せる必要があったんです。とはいえ稽古はハードでお腹がすく。だったらカロリーを抑えて自炊しようと、料理番組を見たりして、独学でほぼ毎日作るようになりました」

結婚して家族が増えてからは、子供たちの好みや栄養バランスを考慮して日々メニューを試行錯誤。オリジナルレシピも自然に増えていったのだとか。忙しく活躍する谷原さんにとって、料理は自分をリセットする大切な時間。

「俳優の仕事は、未完成な作品に向き合う期間が長いので、もやもやした感情を抱えてしまうことも多いのですが、無心で料理をしていると、そういう感情がいつの間に消えていく。ゴールが見えない仕事をしている自分にとって、心が整う作業なんです」

もっちりすいとんに麻婆が好相性

中華街に近い横浜の元町小学校に通っていた谷原さんにとって、中華料理は慣れ親しんだ味。

「〝町中華〟も行きますし、家でもよく作ります。今回はメインをゆで鶏にしようと思ったので、ゆで汁は春雨入りのスープにアレンジしよう、炭水化物も欲しいから、すいとんを麻婆風にしてみようかなと、自然にメニューが決まりました」

食べる人や栄養バランスを考えながらメニューやレシピを構成するのはお手のもの。独学で始めた料理の基礎になっているのは、10年以上出演してきた料理番組での経験だと言います。

「第一線で活躍する料理研究家やシェフから教わったことが財産になっています。中でも料理家の浜内千波先生からは、味付けの基本や栄養素の知識などを教わりました。しょうゆ・砂糖・みりんは基本1・1・1。この比率をベースに、食材や調味料に応じて塩味、甘味、酸味のバランスを足し引きするだけで、だいたいの味が決まります」

子供の多い谷原家では、基本は辛味を付けずに作り、一味唐辛子やラー油でそれぞれ辛味を足していくスタイル。

「昔はカレーも甘口でしたが、一番下の子が小学2年生になり、中辛くらいはいけるようになってきました。家族の成長と共にレシピやメニューの幅が変化していくのも楽しいですね」

「谷原流おいしくするコツ」

ひき肉は細く崩しすぎず、ねぎは粗めに刻んだ方が食べ応えがあって美味しい。

 

「麻婆すいとん」の作り方

◎材料(2人分)

小麦粉200g、ぬるま湯100ml、塩小さじ1/2、ごま油(すいとん用)大さじ1/2、豚ひき肉150g、長ねぎ10cm、ニンニク・生姜各1片、ごま油(炒め用)大さじ1、豆板醤小さじ1/2、甜麺醤大さじ1、花椒お好みで

★水300ml、★鶏がらスープの素(顆粒)小さじ1

水溶き片栗粉適量、粗挽きブラックペッパー適量

◎作り方

1.ボウルに小麦粉と塩、ごま油大さじ1/2を入れて、ぬるま湯を適宜加えながら練っていく。生地がまとまったら濡れ布巾をかけて15分ほどおく。

2.鍋にお湯を沸かし、の生地を一口大にちぎり、平たく伸ばして鍋に入れてゆでる(5分くらい)。すいとんが浮いてきたら、取り出しておく。

3.長ねぎは粗めに刻む。ニンニクと生姜はみじん切りにする。フライパンにごま油大さじ1をひき、ニンニクと生姜を炒めたら、豆板醤と甜麺醤を加えて炒め、香りを出す。

4.豚ひき肉を加えて炒める。ひき肉はあまりほぐさずに肉の表面を焼いてから、粗めに崩して炒めていく。ひき肉の色が変わったら★を加える。

5.2のすいとんを加え、花椒、粗挽きブラックペッパーを加えて味を調える。水溶き片栗粉を加えてとろみをつけ、すいとんにからめる。

6.最後に長ねぎを散らし、器にもりつける。

発酵が不要で、手軽に作れるすいとんは、谷原家の定番メニュー。

汁物にするのではなく、麻婆餡をからめるアイディアは谷原さんのオリジナル。粗めのひき肉とねぎがポイント。

『クウネル』2023年7月号掲載
写真/大森忠明、スタイリスト/澤田美幸、ヘア&メイク/川端富生、調理補助/しらいしやすこ、取材・文/吾妻枝里子

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『クウネル』No.121掲載

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  • 発売日 : 2023年5月19日
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