家庭料理の定番「ラタトゥイユ」と「魚のムニエル」をひと手間でぐっと美味しくする方法【料理家サルボ恭子さん】
定番料理の作り方を改めておさらいしませんか?コツと工夫で、いつもの味が進化するはず。今回は、フレンチベースの家庭の洋食レシピが人気の料理家・サルボ恭子さんに、定番「白身魚のムニエル」と「ラタトゥイユ」の作り方を伺いました。
PROFILE
サルボ恭子/さるぼきょうこ
料理家。老舗旅館の長女として生まれ、料理家の叔母に支持したのち渡仏。パリのグランメゾンで研鑽を積み帰国後は料理家として活躍。料理教室の他、オンラインリアルコミュニケーションサロン「レトォア」を主宰。
家庭料理は材料も工程も差し引いてシンプルに
基本的な味付けはオリーブオイルと塩。サルボさんが提案するフレンチベースの洋食は実にシンプル。「私が目指すのは、お店では味わえない家庭料理ならではのおいしさ。プロの真似をするのではなく、誰もが作りやすいように、材料も工程も差し引いた、手軽なレシピを提案しています」
魚や肉はシンプルに「焼くだけ」でも、フレンチ風にソースを添えるだけで立派なごちそうに。
「ソースを作るというと身構えてしまう方もいるかもしれませんが、白身魚のムニエルに添えたソースは、炒めた玉ねぎにブランデー、生クリームを混ぜてナツメグを加えただけ。ブランデーがなければワインでもいいですし、日本酒でもいい。日本酒を使うならご飯と食べてもいいですね」
家にある材料で簡単に。その代わり仕上がりに差をつけるひと手間は惜しまない。それがサルボさんが提案する家庭料理なのです。
ポピュラーな白身魚のムニエルにソースを添えて
家庭的な洋食としてポピュラーな魚のムニエル。子どもたちが巣立ち、夫と2人になった我が家の食卓にもよく並ぶメニューです。そのまま食べても美味しいのですが、フレンチ風にソースを添えるとごちそう感が増しますね。今回は鰆を使って、クリームソースとフェットチーネに、夏らしくレモンの皮とイタリアンパセリを添えました。ソースと付け合わせは、季節や気分に合わせてお好みのものを。
「白身魚のムニエルクリームソース」の作り方
◎材料(2人分)
白身魚2切れ⇒塩小さじ1/4・こしょう適量・薄力粉大さじ1強、サラダ油大さじ2、ブランデー大さじ5、玉ねぎ(みじん切り)小さめ1/2個分、塩小さじ1/3、生クリーム200ml、ナツメグパウダー2つまみ
◎作り方
1.魚の水分をキッチンペーパーで優しく拭き、塩とこしょうを片面にふる。全面にたっぷりと薄力粉をまぶし、フライパンに油を入れてやや強めの弱火にかけ始める。
2.魚の余分な粉をはたき落とし、フライパンに並べ入れて触らずにしばらく焼き固める。2分ほど焼いて鍋底の面の魚の色が変わり、縁に焼き色がついてきたらひっくり返す。
3.フライパンを傾けて熱い油をスプーンで時々、魚に回しかける。2分ほど焼いてパチパチと油が跳ねるようになってきたら火を止めて魚を取り出し、キッチンペーパーでフライパンの油を吸い取る。
4.フライパンに玉ねぎと塩を入れて弱火でしんなりと少し色づくまで6、7分炒め、ブランデーを加えて中火にし、さらに2、3分炒めたら生クリームを加え弱火にする。
5.生クリームがぐつっとしたら火を止めて味を見る。足りないようなら塩(分量外)を加え混ぜてナツメグをふる。
ラタトゥイユは夏野菜の旨みだけで美味しく仕上がる
夏野菜の旨みをじっくり引き出したラタトゥイユは、冷蔵庫にストックしておきたい定番料理。ベーコンを入れたりしてもいいのですが、夏野菜の旨みだけで充分おいしく仕上がります。野菜が崩れないように火を入れて最初はそのまま。再度火を入れて煮崩れてきたら、オムレツやパスタのソースにしたり、水でのばしてスープやカレーにしても。変化の過程も楽しみたいから、ついたっぷり作ってしまいます。
「夏野菜のラタトゥイユ」の作り方
◎材料(4人分)
パプリカ(赤・黄)各1個、ズッキーニ1本、なす3本、玉ねぎ(粗みじん切り)1/2個、にんにく(薄切り)1かけ、トマト中2個、塩小さじ1と1/4、エキストラバージンオリーブオイル大さじ2
◎作り方
1.パプリカは角切り、ズッキーニとなすは1㎝幅の輪切りに切る。トマトはヘタをくり抜き横に半分に切り、種と果汁をスプーンで取り除いてざく切りにする。
2.厚手の鍋に玉ねぎとにんにく、オリーブ油を入れて弱めの中火で熱する。玉ねぎが透き通るまで炒めたら、パプリカを加え、全体の1/3量の塩をふり、油と塩がパプリカによく絡むように1分ほど炒める。
③②にズッキーニ、なす、トマトを加えて残りの塩をふり1分ほど炒めて蓋をする。
④鍋中からぐつぐつと音がしてきたら火を弱め、時々蓋を開けて手早く1、2回混ぜて、7、8分蒸し炒めにする。
⑤野菜に8割方火が通ったら味を見て、足りないようなら塩(分量外)を加えさっと混ぜる。火を止めて蓋をしたまま鍋に置いて、余熱で火を入れる。
『クウネル』2023年7月号掲載 写真 目黒智子 / 取材・文 吾妻枝里子
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