デニムを愛するアーティスト・片山優子さんが作った「デニムワンピース」

〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーで、ボタンジュエリーアーティストの片山優子さん。今回は、片山さんがデザイナーを務める『アバウトボタン』で制作したデニムワンピースの誕生秘話を特別にお話いただきました。

デニム好きがデニムワンピースを作るまで

昔からデニムを愛している私。自分らしい味に育てていく楽しみやセルフメンテナンスもできるところが好きな理由。私の人生のさまざまなシーンで頼もしい相棒なのです。

いつしか「愛するデニムに、私の作品であるボタンジュエリーを立体プリントしたい!」と思うようになりました。そこから私がデザイナーを務めている『アバウトボタン』で、デニムワンピース作りが始まり、ようやく完成に至ったので、今回はデニムワンピースができるまでの話をしたいと思います。

さて、今まで『アバウトボタン』では、Tシャツやワンピースなどにボタンの首飾りのプリントを行ってきました。当初、制作チームにデニムワンピースを作りたい!と相談すると「デニム製品は、完成するまでに数回洗いをかけたり、生地自体に厚さがあるので、この立体プリント加工はとても困難な作業になる」と言われてしまいました。

制作チームの言う通り、デニム生地に首飾りの特殊な立体プリント加工をすることは、かなり高度な技術です。実際に進めてみると、その難しさを目の当たりにしました。

ある日の打ち合わせ風景。デニム生地の洗いによる、風合いの違いをチェックしています。

生地のカットによって生ずる、使用しない部分のデニムの利用方法を確認中。タグになる部分もあります。

先に赤系のプリントの色はOKだったので、青系をどうするかメンバーとディスカッション中。

サンプルが出来上がりました!

『アバウトボタン』の制作チームです。

正直「不可能かもしれない…」と、頭をよぎったこともありました。しかし、制作チームに何回もデニムに対する思いなどを伝え、ディスカッションを重ねていきます。それからチームメンバーが工場さんと試行錯誤しながら、テストや試作を続けてくれました。

中にはご存じの方もいらっしゃるのですが、今年2023年3月に発表予定でした。サンプルは完璧に仕上がり、いざプリントし始めると、完成した30着のうち数枚にプリントの剥がれ落ちが見つかったのです。痛恨の思いで販売中止を決定。

そこから生産工程を見直し、再スタートすることに。デニム洗いの薬剤やプリント材料の検証、加工の工程など、さまざまな工程を見直しました。テストを繰り返し、2023年8月にプリントサンプルがようやく完成!そして、今回やっと皆さまに完成をお知らせすることができました。完成までの期間は約10ヶ月でした。

デニム生地に立体プリントを施す、独自の技術

デニムというのは、すでに製品になったものをブリーチ加工して、薄く色を落とすのが通常の工程です。今回は立体プリントとの組み合わせということで難航し、色々と試した結果、先に生地のみをブリーチ加工し、プリント工程に入ることで成功しました! 最後に、風合い加工を施し、仕上げとなります。

こちらが実際のプリントの工程です。

1.生地をしっかりと台に貼り付けます。この作業が意外と重要。ずれるとプリントの柄に響きます。

2.貝ボタンのプリントの型です。10色分のスクリーン型を使用し、1色ずつプリントを重ねていきます。

3.プリントの型を生地に合わせて、顔料を塗布します。スケージングという作業工程です。

4.色の三原色(赤、青、黄)を基に、柄のリアルな表情をプリントします。これをフォトプリント技法といいます。

プリントが完成しました!

5.プリントを乾かします。その後、熱をかけるとプリントが膨らみ、凹凸感が出ます。これにて完成です!

もちろん、通常では行わない工程です。各工場には『アバウトボタン』のこだわりを丁寧に伝えて、お願いしました。深く理解してくださったおかげで、最高の仕上がりになりました。不可能を可能にしてくださったチームのメンバーや工場の皆さんに、本当に感謝しています。

完成した4種類のデニムワンピース

こうして、ようやくチーム全員が納得して完成したデニムワンピース。

まず、デザインは2種類あります。立体プリントを引き立てた「NEW」、デニムらしさを追求した洗い感を際立たせたカジュアルな「リボーン」の2タイプ。それぞれ2色展開です。

それから丈も2種類です。サイズ1は総丈115cm、サイズ2は総丈124cm 。身長154cmの私はサイズ1です。

左から「リボーン ホワイト」「NEW 赤系」「リボーン ネイビー」です。

「リボーン ホワイト」リボーンシリーズは、後ろがリボンになっています。

「リボーン ネイビー」

「NEW 赤系」NEWシリーズは、後ろボタンになっています。

「NEW 青系」

「リボーン ネイビー」を着用中。

裾の方にかなりのボリュームがあるので、裾の揺れを楽しめると思います。足元はカラータイツにスニーカーを合わせたり、ブーツにしたり、幅広く着こなしてください。

実は「リボーン」シリーズは、最初に完成したデニムワンピースのプリント部分を特殊な技法で全て剥がしたのです。その上から再度違う手法で、再びプリントを行い完成。再生、生まれ変わりを意味する「reborn」と名付けました。

「NEW」は凹凸の手触りとボタンジュエリーのリアルな表現を、「リボーン」はデニム独特の風合いやプリント部分のダメージ感を楽しんでいただけたらと思います。

デニムワンピースは大阪での個展で初お披露目!

デニムワンピースの最初のお披露目は、大阪・阪急うめだ本店 5階 インターナショナルブティックスの「THE D GALLERY」で2023年11月8日(水)から28日(火)まで開催の個展で発表します。

ワンピースの他にも、新作のTシャツ色違い2種類、サイズも2種類もお披露目です。定番のTシャツもご覧いただけます。

紺地に青系プリント(サイズ1)

白地に赤系プリント(サイズ2)

個展では、今まで定番人気のアイテムもご覧いただけます。

定番人気のアイテム

さらに、大阪の人気デザート専門店『dessert place SHIKISAI』さんとのコラボしたクッキー缶「berry very good button」も作りました。片山優子とボタンの首飾りをイメージして作ってくださり、素敵な仕上がりになっています。

私が好きなベリーをメインにし、全6種類のクッキーです。ボタンの形をイメージしてくださいました。

箱に収まっている様子もまるでジュエリーのようです。

『dessert place SHIKISAI』の平山シェフは、パリで修行され、今さまざまなメディアで取り上げられている新進気鋭のシェフです。

デニムワンピースは、今後オンラインでも発売を検討中です。デニムを愛する皆さま、ぜひこの機会に遊びに来てくださいね。

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この記事の
プレミアムメンバー

片山優子

ボタンを用いて、想像を超えるコンテンポラリーアートジュエリーを制作するアーティスト。さまざまな年代と背景のボタンを用い、新たに愛と想いを吹き込むことで力強くも美しい作品を生み出す。CHANEL「ベストサヴォアフェール」にも選ばれた経歴を持ち、国内外でも注目を集めて幅広く活動している。
Instagram:@yuukokatayama

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