「1963年、革新的な料理番組『フレンチ・シェフ』でホストを務めた時ジュリア・チャイルドは50代でした。遅咲きのジュリアの運命を変えたのは夫の仕事の都合で移住したフランスで出合った料理の数々。料理を作り、食べるジュリアは喜びに満ちています。充実していたのはキャリアだけではありません。フランス時代に撮られた、夫の彼女への愛を感じる写真の数々がいい。互いを理解し合い支え合う幸せな結婚生活が彼女を輝かせたのです」

「都市開発者のロバート・モーゼスは、グリニッジヴィレッジの再開発に対抗してジェイコブズが環境保全のために地元の人々を束ね団体を組織した時、『彼女は何も知らない普通の主婦』だと揶揄しました。その言葉を聞いて怒った〝普通の主婦〟たちが乳母車を押してジェイコブズの集会にやって来た記録が感動的。コミュニティの力を信じ、新しく有機的な都市論を書いた彼女の姿に、一市民も自分の住む街のために、できることがあると教えられます」