前回のおしゃれサンプル#01で、ファッションへのこだわりを教えてくれた増子明子さん。これまで人生の節目毎にバッグをコレクションをしてきたそうです。しばらく前から断捨離をする中、バッグも選別。手元に残ったのは、思い出深いものや、これからも愛用して、娘さんたちに受け継いで欲しいもの。今回は、そのコレクションの一部を見せていただき、バッグとのエピソードを伺いました。
●増子明子さん 65歳 主婦
3つのシャネル マトラッセ
オーセンティックなチェーンショルダーバッグ
増子さんが最初にシャネルのバッグを手にしたのは、43年前。
シンプルでオーセンティックなデザインのショルダーバッグでした。ラムスキンの柔らかい手触りに、珍しいネイビーカラー、持ちやすい定番の大きさが購入のポイントだったそう。
1970年代後半、YSLのウェッジソウルが流行っていた時代。
その靴に合わせるために夫から婚約記念に結納のような形でプレゼントしていただいたものなんだそう。
「YSLの靴も一緒にプレゼントしてくれたので、最初は少しリーズナブルな違う素材のものを選んでいたんですが、『長い目でみたら、いいものにしよう』と主人が勧めてくれて、ラムスキンのものを購入。あの時の主人の判断は、流石!と今でも思うんです」
その20数年後、娘さんが大学生になると、雨の日も雪の日も、毎日のように使っていたそうで、いい具合にヴィンテージ感が増したんだそう。
都会的なチェーンウォレット
2つ目は、小ぶりなお財布タイプのバッグ。斜め掛けができる長めのチェーン、シャネルの中では少しリーズナブルなので、幅広い世代に人気のタイプです。息子さんの結婚の記念に、挙式で訪れたハワイのワイキキで購入しました。
そのしばらく前に増子さんは、大きな脚の手術を経験。ご主人は、多忙な時期と重なってしまい、あまりお見舞いに来れなかったそうで、その罪滅ぼしの意味もあったんだそうです笑。
デイリーに使えるカメラバッグ
3つ目は、5年前、夫のリタイアのタイミングで、増子さんにも記念の一品をと、娘と一緒に銀座で購入したカメラバッグ。名前の通り、カメラが入るほどの大きさ。しっかりとマチがあるので、メイクアイテムや厚みのあるお財布など、お出かけに必要なものが入って、デイリーに活躍。
「カジュアルなスタイルにも合うので、今一番使っているのは、これかな」
最初で最後の父とデパートでのお買い物
シャネルに引き続き、ルイ・ヴィトンのヴィンテージバッグを見せていただきました。
増子さんとヴィトンのバッグとの思い出は、学生時代に遡ります。
学生時代、体調が優れず、母の看病をしていた増子さん。大学卒業のタイミングで、父とデパートへ行く機会がありました。増子さんは、値段などはわからず、「これが欲しい」とバッグを指差したんだそうです。その時、プレゼントしてくれたのが、はじめてのヴィトンバッグでした。
「デパートなんて行くことがなかった父。最初で最後の二人きりでのお買い物だったんで、よく覚えています。父もヴィトンとわからずに買ってくれたんじゃないかしら?」
2つの〈パピヨン〉
増子さんのご主人は、毎年何か一つ、増子さんにプレゼントをされていたんだそう。ある年のプレゼントは、ヴィトンのバッグ、モノグラムタイプの〈パピヨン〉でした。筒型のコロンとしたボディに2つの持ち手、外付けに小さなポーチがついてダブルのシルウェットのオリジナル感で、人気を集めたモデル。
増子さんが持っている様子をみた増子さんのお母様が、「私も欲しいわ」と同じものを購入されて、2つに。お母様は、新しく購入されたものを増子さんへ、元々増子さんが使っていたものをご自身へと交換されたんだそう。
「その頃、流行ってましたし、私もよく使ってました。小さい方はお化粧ポーチにしたり、よく切符を入れてましたね」
時代を超えて、愛用されるバッグ
元々、母がヴィトンのバッグ愛用者。「丈夫で流行りがなく、どんなスタイルにも合うから、いつの時代にももてるもの」と、よくおっしゃっていたそう。亡くなる前、愛用のヴィトンのバッグを増子さんの娘に譲りました。状態のいいバッグの様子から、大切に愛用されていたのが伺えます。家族三代で受け継がれるバッグは、自然なヴィンテージ感が出て、オリジナルの一品に。