パリから、リアルなフランスレポートを送ってくれていたクウネル・サロンメンバー松永加奈さんが、6年に及ぶパリ暮らしを終え、とうとう日本に帰ってきました。3泊4日のホテルコロナ隔離を経て、久々に歩いた東京の風景や人々との交流はいかに?!
松永加奈のフランス便り 締めくくりシリーズ
→第1弾【松永加奈のフランス便り63】まるで絵葉書!どこを切り取っても美しい街の写真でパリ暮らしを振り返り。
→第2弾【松永加奈のフランス便り64】「あれ買ってきて」といわれる”フランス限定”お土産リスト。
→第3弾【松永加奈のフランス便り65】パリ生活を締めくくり。いろいろあった6年でした。
パリ暮らしが終わり、東京での生活がスタートしました。久々の日本、しかも今回は〝一時帰国〟ではなく〝完全帰国〟。「ただいまー!」とマスクの下で叫びながら意気揚々と飛行機を降り…たものの、さまざまなチェックで空港を出るまでに3時間、さらに私が帰ってきたときは、部屋から一歩も出られない「3泊4日ホテル強制隔離」(11月現在は解除)と、行動が制限されている「11日間自主隔離」があり、自由に動き回れるまでには少々時間を要したのでした。
ちなみにホテル隔離中は、誰とも接触しないよう部屋から一歩も出られず、狭い部屋で居場所は主にベッドの上。毎食お弁当がドアノブにかけられ、それを館内アナウンスの指示に従いマスクを装着して〝サッ〟と引き入れ、食べたらまた〝サッ〟とドアの前に出し、再びベッドの上に戻る…この繰り返し。毎朝の健康状態と検温結果の報告、AIによる現在地確認のテレビ電話は自主隔離中も毎日続き、ようやく帰国できたものの「そこそこの試練だよなあ」とぶつぶつ。それだけに、隔離計14日間が無事終了したときは、小さくガッツポーズしました。
さて、6年ぶりの日本での生活、取り巻く環境は「フランス語」から「日本語」へ一変。聴こえてくる言葉が(すぐに理解できるので)気になるかな?と思っていましたが、みんなマスクを着けているせいか、周囲の会話はさほど耳に入らず。ただ、文字は目に入るだけに気になります。フランスにはほぼ無い電車の吊り革広告、お店の看板、壁に貼られた注意書き…ああ、ぱっと見ただけでわかる、うれしい!そんな感じで日々きょろきょろしていたら、あちこちにある「フランス(ふう)なもの」が目に付くようになりました。
例えば、エッフェル塔やフランス語をデザインに使った日用品に雑貨、「メゾン・ド・●●」のようなマンションの名前など。以前は全然意識していませんでしたが、帰国後、フランス語がカタカナ表記されているとつい読んでしまい、それが結構たくさんあることを実感。また「明太マヨネーズフランス」というパッケージを見て、「パン」まで名乗らずとも、それが「フランスパン」を使ったものと周知されていることに気がつきました。個人的に大好きな「チーズフランス」しかり。パリの光景やフランス語はデザインのモチーフにしやすく、「フランス=パン」というイメージは強いんだなと改めて思っています(実際私も渡仏するまでそうでした)。
ほかにも、近所で通っていたパン屋さんやスーパーを見つけて「お!」というようなことも。さすがにまだ懐かしさはなく「あるんだ」という驚きの方が勝っています。そして実際はそれよりも、日本の利便性の高さや気遣いに感動中。ちょっとしたことにうれしさと楽しさを感じる日々は、しばらく続きそうです。それについては、また次回に。