毎日使うキッチンだから、使いやすさやデザインを重視したい。しかしそれだけではなく、地球にやさしい配慮や道具を選んでいるのが、脇もとこさんのキッチンです。プラスチックフリーの意識が高まる中、お家でできるエコな工夫や、使いやすく、思いやりのあるキッチン道具達を教えていただきました。
娘からのリクエストで極めた参鶏湯
脇さんは中医学をベースとした食品の開発や食のワークショップも行っています。参鶏湯は長年研究を重ねて極め、オリジナルのスパイスセットも開発。大きな瓶に酵素シロップを作ったり、家族のために野菜や果物を丸ごと絞ってコールドプレスジュースを作ったり、薬膳料理のスパイスの調合や、ビネガーシロップを作ったり。
すべてはこのキッチンから生まれています。「今はフィトセラピー(植物療法)の勉強中。ハーブの効能を勉強していると、中医学と通じることもたくさんあり、とても面白いんです。いずれ西洋のハーブ、東洋の生薬の両方を扱えるようになれたらと思って」
環境に配慮し、プラスチックや余分なゴミを出さない工夫を
そんな脇さんがここ数年、キッチンで使うものを少しずつ変えています。「世の中がプラスチックフリーへと移行し始め、私も長く使えるものを選んだり、余分なゴミを出さない工夫をするようになりました。無理はせず、日常の中でできることを少しずつです」
リサイクルするとはいえ、日々増える空のペットボトルはストレスに。「空いたボトルを置いておくのも、またそれを捨てに行くのもストレス。だから浄水器もソーダマシンもすぐに欲しいと思いましたが、機能性とデザイン性を兼ね備えたものをじっくり探しました。
ガラスの浄水器は周りの人にも勧めている優れもの。ソーダマシンは友だちの家で見て、さっそく購入したんですが、コッパーカラーでスタイリッシュなのが気に入っています」
また水を汚さない配慮から、毎日の食器洗いにも工夫を加えました。「100%液体洗剤を使わないわけではありませんが、なるべく洗剤いらずで洗える布巾やたわしを選んでいます。洗剤を大量に流さないだけでも、環境にやさしいかなと思います」
さらに生ゴミを集めて、コンポストに投入し、堆肥を作っています。「始める前は匂いなどが心配でしたが、真夏でもほとんど臭わず、1日1度スコップで混ぜるだけ。堆肥でハーブが育ち、それを料理に使っています」地球にやさしく、何時間いても心地よいキッチン。脇さんの思いやりで少しずつ変化し、理想に近づいています。
わきもとこ
スタイリスト、参鶏湯研究家、薬膳アドバイザー。中医学をベースに食を通して心とからだを調える『ホームキッチンファーマシー』を主宰。
https://www.homekitchenpharmacy.com
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『ku:nel』2021年5月号掲載
写真 目黒智子 / 取材・文 今井 恵